しゃがんだ姿勢のことを英語でアジアン・スクワット(Asian squat)とかレスティング・スクワット(resting squat =休憩スクワット)とか呼びます。アジア人が地べたにしゃがんで休憩することが多いためです。逆に、椅子文化のある欧米では、大多数の大人はきちんとしゃがむことができません。
見落とされがちですが、しゃがむことは最も重要な身体動作の一つと言っても過言ではありません。たとえば、寝転がった状態から立ち上がるためには、途中で一旦しゃがまなければならないのです。反対に、ちゃんとしゃがむことができないと、まず立ち上がることが億劫になり、徐々に座ったきりになり、やがて寝たきりになってしまいます。

(いわゆる「う○こ座り」。)
寝たきりにならないためにウォーキングをしている人は多いでしょうが、実は歩行能力が衰えるよりも10〜30年も先行してしゃがむ能力の方が衰えてくるのです。
しゃがむという一見単純な動作のためには、足首−膝−腰−首をつなぐ骨格・筋・腱・靭帯・筋膜が柔軟に連携している必要があります。この連携が崩れると、「原因不明」の腰痛、膝痛、コリ等を引き起こします。腰痛や膝痛が起こるからしゃがめなくなると勘違いしている人が多いでしょうが、実際の因果関係はその真逆です。
試しに、正しい姿勢でしゃがんでみましょう。
正しいしゃがみ方とは、踵を床につけたまま、膝をつま先よりも大きく前に突き出し、背筋を真っ直ぐ上体を起こした姿勢のことです。つまり、和式トイレで大便をするときの姿勢です。もっとも、今となっては和式トイレを使っている人なんてごく少数でしょうが。ちゃんとしゃがめましたか?
独自のトレーニング方法で有名なイドー・ポータル氏(Ido Portal)は、一日30分しゃがむことを勧めています。彼自身、毎朝、起床したら必ず暫くしゃがんで過ごすのだそうです。30分といっても連続30分しゃがんでいるということではなく、たとえば朝10分、昼5分×3回、夜5分というように細かく分けても良いのです。しゃがんだまま歯磨きしたり、テレビを見たり、仕事中の気分転換としても、風呂で身体を洗うときでも、何時どんな状況でやっても良いのです。そのくらい誰でも出来るでしょう。
上手くしゃがめない人は、最初は柱や手すりや家具につかまってもよいし、踵の下に雑誌などを敷いてみる(=踵を上げる)のも良いでしょう。毎日やっているうちに、補助なしでしゃがめるようになり、やがて膝や腰の痛みが改善してくるのを実感するでしょう。
ところで、筋トレ界では、昔から「膝をつま先よりも前に出してスクワットしてはいけない」という指導が行われてきましたが、これには全く根拠がありません。身体の硬い(=しゃがむことが不得意な)欧米のボディービルダーのトレーニング法が、裏付けもなく定着してしまっただけのようです。身体が硬いのであれば本来は可動域を広げる工夫をすべきであるのに、わざわざ可動域を狭めるようなトレーニング方法を推奨するのは逆行しているのです。しゃがんでみれば直ぐに分かることですが、人体の構造上、膝をつま先より前に出した姿勢はバランスが良いのです。

(4月初の六甲山。半袖にはちと早い。)
![]() |
シービージャパン 踏み台 ベージュ 耐荷重100kg トイレ用サポート ヨークデル 新品価格 |
