2015年02月17日

安い自転車に愛をこめて・・

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(普段使いには、スタンド付の自転車だね。素人くさくて嫌い?)

 これは私がいつも乗りたおしている自転車です。新車時から6〜7年くらい経っているでしょうが、もう何キロ走ったのかすら見当がつきません。随分と手荒に扱ってきましたが、出先で故障したことはただの一度もありません。メンテナンスも適当にしかやっていないのに、信頼のおける自転車です。

 フレームとフォークの素材は、通称「ハイテン鋼」と呼ばれる、鉄に添加物を混ぜた鋼です。クロモリ鋼よりも、一般的には価格的に安くて、重いものです。前後ブレーキをかけたまま片側クランクに全体重をかけると、車体が微妙にたわむのが分かります。素材と設計のルーズさが生む絶妙な柔らかさです(ものは言いようですね。)。
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(オシャレのつもりでケーブルを這わせてみた・・。)

 安い自転車に見向きもしない人もいるのでしょう。特に、情報過多な中で、格好の良い自転車だけ見てしまっている人は、その傾向があるようです。しかし、そんな人にこそ、是非、普段使いの安い自転車をお勧めします。
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(これで税込45,000円程度とは・・。)
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(これまたオサレ。内装7段、前後ローラーブレーキ。税込5万円しないなんて。でも、・・これはないな。)


 以下は、安い自転車に対する反対意見と、それに対する私の回答です。

 「部品の精度もセンスも悪い?」 → 気に入らない部品は、交換してください。交換部品すら安上がりです。
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(BB軸長が広すぎる?ならば、交換したって2,000円程度。)

 「組み付けが雑?」 → 自分で一旦バラして、調整してください。安い自転車とは、お金をかけずに、手をかけるものなのです。
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(自転車は工場出荷時点では、全て半完成の状態です。「85%組立」?大事なのは「調整」。)

 「設計がおかしい?」 → 裏を返せば、自分で改善する余地が山ほどあるということです。
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(シングル化する方法も、選択肢はいくつかあるのです。)

 「安い自転車に乗っているなんて、カッコ悪い?」 → 自転車とともに、カッコよく成長する伸びしろがあるということです。少なくとも、自転車泥棒には狙われないというメリットがあります。
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(希少なチェーンケージは、チェーン脱落防止のため。見つけたときは、ガッツポーズしたっけ・・。)


 さて、堅牢な私の愛車も、そろそろヘッド周りの感触がおかしくなってきました。近々、ヘッドパーツを交換する必要がありそうです。ついでに、いろいろ弄ってみましょうか・・。妄想が広がります。

 では、また。つづく・・。
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posted by 司法書士 前田 at 10:06| Comment(0) | 自転車

2015年02月13日

バーチャルオフィスを本店として会社を設立すること?

 会社の設立に関して、法は準則主義を採用しています。これは、官公庁の許可や免許などを必要とせずに、法律の定める手順に従いさえすれば、自由に会社を設立することが出来るという原則です。株式会社の場合には、会社法第2編第1章の要件(定款作成、出資、機関の設置、登記等)を満たしさえすれば、誰でも比較的簡単に会社を作ることが出来ます。言い換えれば、会社という法人が成立する段階では、会社の実在性や設立目的の合法性のような実質的な問題について、公の審査をされることがないのです。会社の設立における準則主義の採用は、経済活動の自由(憲法第22条)の手続的な表現であるともいえます。

 しかし、このように簡単に会社が設立できるとなると、弊害も生じるのではないでしょうか?そこで今回は、会社設立段階での問題の一例として、バーチャルオフィスについて考えてみましょう。
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1. バーチャルオフィスを本店として会社を設立することはできるか?
 バーチャルオフィスとは、「住所」及び「電話番号」をレンタルするサービスのことです。会社の本店とされる「住所」に行っても、実際に会社の従業員がいるわけではありません。会社の「電話番号」に電話をかけても、別の電話に転送されるか、電話応答サービスのために雇われた人が、あたかも会社の従業員を装って伝言を受けるだけです。
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 では、バーチャルオフィスを本店として会社の設立登記ができるでしょうか?

 この質問に対する私の答えは、「そのような登記を申請してはいけない。」です。

 そもそも、会社の成立・存続に際して「本店所在地」を定めることが法定されている(会社法第27条3号)趣旨は、会社(「法人」という観念的存在)の営業の本拠を明らかにすることによって、取引の安全を確保することにあります。すなわち、会社と取引しようとする相手方等は、会社の本店所在地を調査することによって、その会社の実在や営業規模等について理解する端緒とすることが予定されているのです。この趣旨からすれば、会社の「本店所在地」とは、バーチャルオフィスのような名義上の「住所」ではなく、会社の営業活動の本拠のことを指すと解されます。

 バーチャルオフィスが「本店所在地」でないとすれば、これを本店として会社登記をすることは、虚偽申告による登記申請をしたということで、公正証書原本不実記載等罪(刑法第157条1項)の構成要件に該当します。立派な犯罪行為です。

 バーチャルオフィスでも登記が可能であるという言説が流布していますが、これらは重要な点について誤解をして(又は意図的に誤認をさそって)いるものです。

 会社登記は、申請書類さえ形式上調っていれば通ってしまうものです。たとえバーチャルオフィスを本店として会社の設立登記を申請しようとも、書類上問題がなければ、設立登記は完了してしまいます。しかし、これは登記官が形式的審査権しか持っていないことから生じる事態に過ぎません。もともと、登記官には、会社の営業活動の本拠を調査したり、営業実態の有無を審査したりする権限は与えられていないのです。故に、バーチャルオフィスを本店として会社設立登記が通ってしまったからと言って、その登記事項の真実性や適法性について、法務局のお墨付きが与えられたということにはならないのです。
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 当たり前のことですが、登記が出来るかという問題以前に、その内容が適法なものかという問題を考えなければならないのです。



2. 専門家としての義務とは?
(1) 設立段階で生じる諸問題
 上記1で述べたような問題の他にも、会社の設立手続きに関わる仕事をしていると、いろいろと怪しげな事案に遭遇することがあります。例えば、以下のような事案です。

 ・会社設立を偽装した出資金詐欺を疑わせる事案
 ・犯罪行為の隠れ蓑とするための設立を疑わせる事案
 ・設立会社取締役に経営権限が全くない事案
 ・財産隠しや執行逃れを疑わせる事案


(2) 司法書士による本人確認等の義務
 平成19年に施行された「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下、「犯罪収益移転防止法」という。)は、マネーロンダリング等の防止を目的として、一定の事業者(以下、「特定事業者」という。)に対して、顧客の本人確認、取引記録の保存、疑わしい取引の届出等の義務を負わせています。このような義務を負う特定事業者には、金融機関をはじめとして、司法書士等の「士業者」も含まれています。

 犯罪収益移転防止法は、組織犯罪に利用される危険のある取引を「特定取引」として類型化し、各特定事業者に特定取引に関与する際の本人確認等の義務を課しています。会社設立手続は、司法書士が本人確認等の義務を負うべき取引として定められた特定取引の一つです。また、特定取引に該当しない場合でも、司法書士は、業務を遂行するうえで関係者の本人確認や取引記録の保存等が義務付けられています(司法書士法23条等)。さらに、業務遂行について重要な行為を行うのは常に司法書士本人であって、他人にこれをさせてはなりません(司法書士法施行規則第24条)。このような義務があることは、犯罪の発生を防止するだけでなく、専門家としての社会的信頼を維持することによって、取引の安全を守るという機能をはたします。

 たまたま私が司法書士であるから、司法書士業務に関連した内容についてお話しましたが、同じような義務は、金融関係者、各種士業者等の身近な専門家が、根拠と方法は違っても、皆負っているものです。


(3) 「専門家」の倫理?
 バーチャルオフィスの問題に限った話ではありませんが、犯罪の疑いのある事案を見て見ぬふりをしながら手続きを請け負ってしまう「専門家」が世の中には溢れています。ひどい「専門家」になると、一度も依頼者との面接をしないまま、無資格のアルバイトに作らせた手続き書類だけを通信販売しているような始末です。

 「専門家」が犯罪の温床を提供しているなど、言語道断。恥を知るべきです。
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posted by 司法書士 前田 at 18:04| Comment(0) | 企業法務

2015年02月06日

遺産分割審判と不動産登記

 今回は、遺産分割審判にもとづく相続登記(相続による所有権移転登記)について考えてみましょう。同業者(司法書士)以外に、こんな長い文章を真面目に読んでくれる人がいるのでしょうか・・。

(事例)
 被相続人Aの唯一の相続財産である不動産(Aが居住してきたマンション。以下、「本件不動産」という。)に関して、相続人X、Y(他には相続人はいません)の間で、意見が割れて、遺産分割協議が出来ない状況となりました。
 Yは、生前Aから法定相続分をはるかに超える多額の贈与を受けていました。一方、Xは、生前贈与を受けることもなかったのですが、15年前にAが寝たきりになってからは、一流会社の正社員から比較的時間に制約のないアルバイトに転職し、Aと本件不動産に同居しながら献身的に介護してきました。Xは、何とか生活の本拠である本件不動産くらいは、自分が単独で相続する権利があるだろうと主張しましたが、Yは、本件不動産を処分して、売却金を法定相続分で分けることを主張して一歩も引きませんでした。
 そこで、Xは家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てました。調停でも話し合いはつかず、最終的には審判が下され、これが確定しました。審判の内容は、「Xは、単独で本件不動産を相続する。」というXの主張を全面的に認めるものでした。
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 さて、本件のような場合に、不動産登記を専門とする司法書士として、いくつかの実務的な疑問点を整理しておく必要があります。その疑問点とは、

・Xは、単独で相続による所有権移転登記を申請できるか?
・できるとして、その根拠はどこにあるのか?
・登記申請の際に添付する審判書に、執行文をつける必要があるか?
・確定証明書をつける必要があるか?
・審判書が正本である必要はあるか(謄本でもよいか)?

というものです。実務家の間でも、説明が一貫していない部分ですので、くどいかも知れませんが法律的・理論的な根拠を確認しながら整理してみましょう。


1. 不動産登記法(以下、単に「法」という。)第63条1項について考えてみよう
(1) 法第63条1項の要件
 法第63条1項は、「第60条、第65条・・の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続きをすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同しなければならない者の他方が単独で申請することが出来る。」と定めています。

 この規定は、共同申請を原則とするような登記において、確定判決で「○○は、××に対して、別紙記載不動産について、平成年月日売買を原因とする所有権移転登記をせよ。」というような給付判決を得れば、単独でも登記申請が出来るという例外を定めたものです。この条項の要件事実を箇条書きにすれば、

 @原則が共同申請である登記申請(法第60条、第65条等)である。
 A一方当事者の登記意思を擬制する確定給付判決がある。

ということになります。法第63条1項の「確定判決」は、判決同様の効力をもつ債務名義(和解調書、調停調書、審判書)を含みます。

 本事例に、法第63条1項が適用されるか否かを考えてみましょう。

(2) 共同申請すべき場合か?
 まず上記@について、本事例は相続による所有権移転登記ですから、その申請方法は相続人による単独申請(法第63条2項)です。よって、法第63条1項が適用になる余地はありません。

(3) 給付判決と同様の裁判か?
 上記(2)のとおり、本事例には法第63条1項の適用の余地はないのですが、手続法を理解するうえで重要だと思われるので、蛇足ながら上記Aの要件についても検討してみましょう。

 裁判には、特定の請求権の「給付」を目的とするもの、特定の法律関係の存在又は不存在の「確認」を目的とするもの、及び特定の法律関係の「形成」を目的とするものという三種類があります。

 「給付」とは、例えば、金銭の支払、物の引き渡し、一定の不作為や特定の意思表示をすることも含まれます。法第63条1項の定める「登記手続きをすべきことを命ずる確定判決」とは、給付判決のことです。給付判決には、強制執行によって給付請求権の実現を図ることのできる「執行力」が認められています。

 「確認」とは、既存の特定の法律関係を「既判力」によって確認することです。大抵の紛争は、法律関係を確認しただけでは解決しませんから、確認の裁判を利用する場面は限定されます。また、「既判力」のない裁判については、問題とはなりません。

 「形成」とは、一定の法律要件(形成要件あるいは形成権)に基づいて特定の法律関係が変動(発生、変更又は消滅)することを言います。例えば、形成権の一つである民法第541条の解除権は、(@)相当の期間を定めた催告、(A)履行なしに相当期間が経過したことによって発生し、(B)解除権者が相手方に意思表示することによって行使します(民法第540条1項)。通常はこのように、形成権を持っている者は、相手方に対する一方的意思表示によって法律関係を変動させてしまうことが出来るので、裁判を必要とはしません。よって、形成の裁判は、法律の定めのある場合に限って提起することが出来るのです。形成の裁判には、法律関係を変動させる効力「形成力」が認められています。

 ところで、本件のような遺産分割事件は、家事事件の一つです。家事事件(家族、親子、夫婦等の問題)については、一般の民事事件とは異なった取り扱いが必要となることから、家庭裁判所に後見的な視点を入れた裁判権が与えられています。では、「Xは、単独で本件不動産を相続する。」という本件のような家事審判の性質は、どのようなもの(給付、確認又は形成)でしょうか?

 本件審判は、形成の裁判です。なぜなら、本件審判によって遺産分割協議という法律行為の効力が発生するからです。本件審判は、既存の法律関係にもとづいて特定請求権の給付を命じるものでも、そのような法律関係の確認をするものでもありません。

 ちなみに、形成要件が予め法定されている本来的「形成」の裁判に対して、本件のように裁判所が合目的な裁量によって一定の法律関係を形成する裁判のことを「形式的形成」の裁判といいます。後見的な性質を持った家庭裁判所の行う裁判には、多かれ少なかれこのような形式的形成の側面があるのです。

 よって、本件審判は給付を命ずるものではないので、法第63条1項適用の場面ではないことになります。結局、@の要件もAの要件も欠いているということになります。


2. Xは単独で相続登記を申請できるか?
 相続による被相続人から相続人への不動産の所有権移転登記は、相続人が単独で申請することが出来ます(法第63条2項)。遺産分割が行われた場合には、当該不動産について権利取得した相続人のみが単独で、登記申請情報に登記原因証明情報の一部として遺産分割協議書を添付して、申請を行うことになります。

 本件における遺産分割審判は、遺産分割協議という法律行為の効力を形成するものですから、本件審判書は遺産分割協議書と同様の効力をもつ法律文書ということになります。よって、Xは単独で、審判書を添付して相続による所有権移転登記を申請することが出来るのです。

 ちなみに、通常、相続登記に遺産分割協議書を添付する場合には、権利を承継しない法定相続人が実印で押印したうえで印鑑証明書をつける実務的扱いになっていますが、これは遺産分割が協議参加者の真意に出たものであるということを担保する意味があるので、そのような担保をする必要のない審判書には印鑑証明書を付す必要はありません。また、遺産分割審判が行われる際には、裁判所に戸籍等を提出して相続関係を確定しているはずですので、相続登記の際に重ねて戸籍等を添付する必要はありません。

3. 執行文付与の要否
 執行文とは、債務名義が執行力を持つということを、債務名義正本の末尾に付記する方法で証明する文言のことです。強制執行するためには、原則として、債務名義の正本、債務者への債務名義謄本(又は正本)の送達、及び執行文の付与という3つの要件が必要です。

 なぜ執行文が必要かと言えば、債務名義が存在するだけでは、その債務名義に執行力があるか否かが明らかではないからです。例えば、判決が確定しているか否か、債務名義に定める請求権の執行条件が成就しているか否かといったことを調査する必要があるのです。執行文を付すのは、執行証書(金銭債権について執行認諾文言のある公正証書)以外の債務名義の場合には、事件記録の存する裁判所の書記官です。このような仕組みになっているのは、執行機関と債務名義作成機関とが分かれているからです。前者に、執行力の存否を判断させるのは適切ではないし、その能力もないのです。

 さて、本件の審判は、そもそも給付の審判ではありませんので、執行文は不要です。

 では仮に、本件の家事審判に「Yは、Xに対して、金100万円を支払え。」という条項が定められていたら、どうでしょうか?この場合には、審判が債務名義になるので、執行文付与の要否を検討する必要があります。しかし結論から言えば、この場合でも執行文は不要です。債務名義の中にも、債権者保護を迅速にすべき必要がある等の趣旨から、執行文付与を必要としないものがあるのです(民事執行法第25条但、民事保全法第43条1項・第52条1項、家事事件手続法第75条)。

 さらに脱線して、本件が民事訴訟で、XがYに対して、売買契約に基づく登記義務の履行を求めるというような事案だったとしましょう。このとき、判決が「Yは、Xに対して、平成年月日売買を原因として本件不動産の所有権移転登記をせよ。」という給付請求を認めるものであった場合、執行文は必要でしょうか?結論から言えば、この場合も執行文は不要です。なぜなら、登記申請意思のような意思表示を求める訴えにおいては、意思表示を認める判決が確定した時点で、被告の意思表示が擬制されるので、それ以上執行するということが観念できないからです。

 承継執行文や条件成就執行文については、以上とは別に検討する必要がありますが、ここでは割愛します。


4. 確定証明書の要否
 不服申し立ての可能性ある裁判にもとづいて登記申請を行う場合には、確定証明書を必ず付すべきです。本件審判について言えば、高等裁判所への即時抗告が可能である以上、審判書だけでは、登記官にはその内容が確定したものか否かを判断することが出来ませんから、登記申請に際して確定証明書を付す必要があります。

 仮に本件において、遺産分割調停が成立したとすれば、調停調書にもとづいて登記申請を行う場合には、確定していることが明らかなので、確定証明書(そんなものあるのでしょうか?)は不要です。

5. 審判書は正本を添付すべきか?
 審判書には、原本、正本及び謄本の別がありますが、不動産登記申請を行う場合に、いずれを添付すべきでしょうか?

 原本は裁判所に保管される代替性のない文書です。正本は、原本と同じ内容を持つものとして権限のある機関(本件の場合、裁判所書記官)によって、作成される謄本の一種です。謄本は、正本と同じ内容を持つものとして権限のある機関(本件の場合、裁判所書記官)によって作成される文書です。

 正本と謄本との違いは、奥書の証明に「これは正本である。」と書いてあるか、「これは謄本である。」と書いてあるかの違いしかなく、特に正本を用いることが法規上定められている場合を除いて、どちらも同じ証明書としての役割を果たします。

 正本を用いることが法規上要求されている代表的な場合は、強制執行(民事執行法第25条)する場合です。

 不動産登記申請に関連する規定では、不動産登記令第7条1項5号イ(1)が、「法第63条第1項に規定する確定判決による登記をするとき 執行力のある確定判決の判決書の正本(執行力のある確定判決と同一の効力を有するものの正本を含む。)」を要すると定めています。

 本件の場合は、上記1で見たように、法63条1項によって登記申請するわけではありません。本件において、相続による所有権移転登記申請に遺産分割審判書を付すのは、通常の登記原因証明情報の一部という意味ですから、特に正本に限る旨の規定がない以上、謄本で構わないという結論になります(登記研究527号)。
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 今回も長い文章を読んでくださって有難うございます。皆様の忌憚のないご意見をお寄せ下さい。
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posted by 司法書士 前田 at 18:02| Comment(0) | 登記業務

2015年02月02日

ヘタレか?(ギア比変更の巻)

 平成27年1月31日、シングルスピードバイクのギア比を、51×16から46×17へと変更してみました。前回重いギアで走ってみたのですが、ぜんぜん快適でなかったからです。

 そこで、今回はその変更の工程を題材にして、解説風の日記を書いてみました。多分、多くの自転車乗り達にとっては、「そんなこと知ってるよ」という内容ばかりなのでしょうし、私の思い込みも多々あるかも知れません。ご勘弁を・・。


1. チェーンを切ってみよう
 チェーンを切るには、チェーンカッターという専用工具を使います。正確に言えば、チェーンを「切る」のではなくて、チェーンを連結しているコネクティングピンを「外す」のです。
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(チェーンカッター、と言っても切りません。)

 因みに、チェーンは、アウタープレート、インナープレート、ローラー、コネクティングピン等の部品を組み合わせることによって成り立っています。各部品を組み合わせる際には、わずかな遊び(ガタ)が生じ、この遊びのおかげで、チェーン全体としてなめらかな動きを生み出す仕組みになっています。

 実は、普段何気なく使っているチェーンがこのような構造をしていることを意識することは、自転車を扱う際にも、とても重要なことなのです。チェーンが切れたり、伸びたりするのは何故なのか?不意のチェーントラブルに襲われないためにどのようなことに気をつけるべきなのか?適切なチェーンを選択するためには何に注意すべきなのか?このような疑問を解決する第一歩は、全て、チェーンの構造を知ることから始まると思うからです。


2. ギアを交換しよう
 今回使用するチェーンリング(前ギア板)は、薄歯、歯数46丁、PCD130mmのものです。
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(51丁と46丁。大きさはこのくらい違います。)

 PCDとは、チェーンリングをクランクに接合するためのボルト(フィキシングボルト)の中心を結ぶ仮想円の直径を指します。ロードバイクで現在主流となっているPCDの規格は、130mmと110mmです。

 ギア板には厚歯と薄歯とが存在し、チェーンにも厚歯用と薄歯用が存在します。これは、ギアの厚みによる分類です。
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(右が厚歯のフリーギア、左が薄歯。シングルスピードなら厚歯が理想的。)

 厚歯は、変速のないママチャリに使われているのと同じ規格のチェーンです。薄歯とは、変速用のナローチェーン(6・7・8速)のことです。「ナロー(狭い)」と言っても、11速が当たり前になった最近では、十分に太い部類です。薄歯のギア板に、厚歯用のチェーンを使用することは出来ますが、その逆は出来ません。

 シングルスピードバイクでは、丈夫な厚歯を使用することができます。当然、ギアとチェーンとの接触面積が大きい厚歯同士の組合せを使う方が、一般的に言えば、丈夫で長持ちし、エネルギーの伝達効率も高くなると考えられます。

 チェーンリングを外すには、六角棒レンチを使って、フィキシングボルトを外します。逆に、取り付ける際には、フィキシングボルトが動かないように、ペグスパナで後ろから押さえて、締め付けます。フィキシングボルトには、シングル用、ダブル用、トリプル用等と幅が異なるものが存在しますので、購入する際には注意しましょう。
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(ペグスパナでは、回しません。)
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(後ろから押さえて、六角棒で回すのです。)

 後輪のハブに取り付けるのは、フリーギアと呼ばれるギア板です。普通の多段変速のスポーツ自転車の場合、フリー(正回転の力のみを車輪に伝える機構)はハブに内蔵されており、ギア板(スプロケット)のみを比較的簡単に交換できるようになっています。これに対して、シングルスピード用のハブには、フリーが付いていません。シングルスピードの場合には、ギア板の側にフリーが内蔵されたフリーギアを使用します。フリーギアは、ハブにねじ込んで固定するために、それほど頻繁に交換するものではありません(ギア比の変更は、必然的にチェーンの長さ調整という面倒くさい作業を伴いますから)。
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(左から、20丁、17丁、16丁。)
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(パコッと一撃。)
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(外れた。正ネジです。)

 フリーギアの外し方は、上の写真のように、凹部(シマノのフリーギアは凸部)にセンターポンチ等を当てて、金槌で一撃します。ネジは正ネジです。装着する場合の工程は、外す時とは逆になります。


 ちなみに、シングルスピードのフレームエンド(後ハブ軸を挟む部分)の形状のことを、トラックエンド(正爪)と呼びます。これに対して、多段変速のスポーツ自転車で主流となっているフレームエンドの形状は、ストレートドロップエンドと呼びます。両者の違いは、前者がチェーンの張り調整をボルトナットで行うのに対して、後者がチェーンテンショナー(ディレイラー)で行うという点にあります。
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(開口部が真後ろに向いているのが正爪。)

 トラックエンドの自転車では、適正にチェーンの張りを調整しさえすれば、チェーン外れやチェーン切れのようなトラブルはほとんど発生しません。しかし、ストレートドロップエンドの自転車の場合には、チェーントラブル発生の可能性が増します。テンショナーを使ってチェーンの張りを維持するだけでは、走行中にチェーンが暴れるのを十分に防ぐことが出来ないからです。チェーンは、乗り手が思っている以上に暴れているのです。


3. チェーンを繋いでみよう
 チェーンの長さは、短すぎず長すぎずです。チェーンが伸びた(摩耗した)時に備えて、引きしろを残しておく必要もあるし、長すぎれば走行中にチェーンが外れて危険です。上の1からもわかるとおり、チェーンの1コマは、アウターリンク(アウタープレートとローラーを組んだもの)とインナーリンクから成り立っています。1コマ=2リンク(約25mm)ということです。ということは、チェーンの長さ調整は、25mm単位で行うのが基本ということになります。どうしても、使いたいギアの組合せとチェーンの長さが会わない場合には、「半コマ」を使って調整するという方法もあります(半コマは、変形プレートを使ったリンクです。)が、半コマを使うよりはギアの組合せを変えた方が良いと思います。
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(なるべく半コマを使いたくないけれど・・。)

 チェーンを繋ぐ際には、チェーンカッターを使って、コネクティングピンを圧入します。微かですが、ピンが「スポッ」とはまる位置まで押し込みます。飛び出たピンはペンチなどで折ります。継ぎ目が硬くなりすぎないように、必要があれば(硬くなりすぎていれば)継ぎ目をこじって動きが良くなるようにしておきます。
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(アウターリンクとインナーリンクを合わせて、ピンで貫く。)
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(ピンを押し込む。)

4. 調整
 あとは、ホイールをフレームエンドに固定すれば完成ですが、これと同時に、チェーンの張りとブレーキのアタリを調整します。
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(公道ではチェーン引きを使うべし。)
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(指でチェーンの中心を押してみて、15mm前後の遊びを作る。)
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(チェーンラインの確認も忘れずに。)

5. 試走
 翌日、武庫川サイクリングロードを経由して、宝塚まで走ってきました。
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(北風吹いても、自転車乗ればあたたかいのさ。)

 平坦なコースではちょっとスピードが足りない感じがしますが、随分と走り易くなりました。これなら、100q超のツーリングでも楽に走れそうです。折角だから、どこまで足をつかずに六甲山を登れるものか試してみたくなりました。筋トレして足腰を鍛えておかないといけませんね。
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(宝塚のサイクリーに行って、また部品の物色を・・。)


5. その他、
(1) 使用する一般工具について
 自転車いじりを始めた頃、とても驚いたことがあります。それは、自転車整備の解説書等に、スパナやモンキーレンチ等のオープンエンドの工具を使っている写真が多く掲載されていたことです。
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(安物でもメガネレンチを使ってください。)

 オープンエンドの工具は、いくら高価なものであれ、なるべく使うべきではありません。ボルトを回すのであれば、可能な限り、ボックスレンチやメガネレンチ等の力のかけやすい工具を使うべきです。もちろん、スクリューを回す際に、適切なサイズのドライバーを使用するのも同じ考え方にもとづいています。

(2) 金属の接触面にはグリスを
 ボルトを締める場合等、金属同士が接触する際には、必ず接触面にグリス(場所によっては、ネジ止め剤)を塗布しておきましょう。これは潤滑のためではありません。接触した金属の錆を防止するためです。ネジだけに限った話ではありません。
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(金属同士を何もつけずにそのまま接触させるべきではありません。)

(3) ネジとは
 極端な話をすれば、ネジは使い捨て部品です(と言っても、本当に使い捨てたりはしませんが。)。同じネジを何度も付けたり外したりすれば、ネジ山が傷んでしまいます。締め付けるという行為は、金属にとっては寿命を縮めるストレスの高い行為です。必要以上に分解・組み付けを繰り返すことは、整備をしているつもりでいて、かえって自転車を壊してしまうことがあります。圧入という行為にも、同じことが当てはまります。

(4) 適材適所という考え方
 今回使用したフリーギアの内部には、金属のツメが入っており、そのツメが引っかかるためのミゾ(ノッチ)が彫られています。フリーを空回しすると、「カチッ、カチッ」と音がしますが、この音は、ツメがノッチに弾かれていることで生じているのです。

 私が使用しているフリーギアは、ノッチが20本彫られたものです。つまり、車輪が1回転する間に、動力のかかるポイントが20か所存在するということです。逆に言えば、ツメが引っかかっているポイントを除いた18度(360度÷20)の部分では、ペダルを踏んでもその力は車輪には伝わっていないということになります。

 もちろん、この18度を無駄だと思えば、ノッチ数の多いフリーギアを使用することもできます。100ノッチくらいのフリーギアは、20ノッチのものに比べると、部品の精度が格段に高く、値段も10倍くらいします。しかし、使用してみればすぐわかることですが、シングルスピードのロードバイクには、20ノッチの安物が最も使いやすいのです。

 バイクトライアルのような使用方法なら、踏みだしのレスポンスの良さは大事でしょうが、高速で走るロードバイクの場合に、踏みだしの最初の18度が気になることは全くありません。むしろ、ノッチが多いことからくる摩擦の方が、スピードの障害になってしまいます。

 今回のフリーギアの話だけではなくて、一般的に、部品には、使用目的に応じた適性というものがあるのだと思います。目的を考えずに、やたらと高精度のものをつければ良いというわけではないのです。当たり前すぎますかね・・?

 では、また・・。
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posted by 司法書士 前田 at 17:43| Comment(0) | 自転車