2015年03月31日

安い自転車に感謝をこめて・・(化粧直し編2)

 実際に、作業に入る前に、塗装について語ってみました。塗装のプロから見れば、未熟な私の知識と経験ですが・・。


1. 基本と用語解説
 私はかつて自分のオートバイをカスタムペイントしていた経験から、正しい塗装の手順は、次のとおりだと認識しています。塗装は、ただ色付けするだけの作業ではありません。

  @足づけ
  A脱脂
  Bプライマー塗装
  Cサーフェサー塗装
  D色塗装
  Eクリアー塗装

 @「足づけ」と言うのは、下地を粗めの耐水ペーパーで砥いで傷をつける作業です。下地の表面積を大きくすることで、塗料の密着を良くするのが目的です。つるつるの面には、塗料はしっかりと載りません。

 A「脱脂」とは、グリスや手脂を除去することです。下地に手で触れただけでも、塗料をはじいてしまうものです。
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(市販の脱脂剤。専用品を使わなくても、いろんな代用品が使えます。)

 Bプライマーとは、下地と塗料との密着を高める下塗剤のことです。アルミや軟質プラスチック等、下地の材質によっては塗料との相性が良くないために、下地に応じたプライマーを使います。
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(プライマーは、塗料のノリの悪い下地には必須。)

 Cサーフェサーとは、樹脂状の中塗剤です。乾くとプラスチックのように固まるので、下地のムラを修正することが出来ます。
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(車用のプラサフ。プライマー+サーフェサーという意味。)


 B〜Eそれぞれの塗装後には、徐々に高い(細かい)番手の耐水ペーパーやコンパウンドを使った磨き作業が入ります。必要があれば、足づけ作業の前に、パテを使った整形作業をしますが、今回はしません。


2. 今回の計画
今回は、BとCを大胆にも省略します。

 使用するのは、スプレーガンではなくて、スプレー缶です。もとの色と同じ黒を塗ります。
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(エアーコンプレッサー。高いし邪魔。私もかつては使っていたが、捨てました。)
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(エアー圧や噴出し口を調整できる優れものだけど、準備と後片付けが大変。)

 本来は、きちんとした手順に従って、ちゃんとした道具を使って作業すべきですが、残念ながら場所も道具もありません。基本通りに塗装作業するためには、材料、道具、場所、周囲の理解(?)等、様々な条件が揃わなければならないのです。

 とは言っても、塗るからには、きれいに仕上げるつもりです。鉄は、塗料の密着が良いので、プライマーは使わなくても大丈夫でしょう。もとの色の上に、同じ色を重ねるのであれば、厚塗りする必要もありません。黒なので、失敗しても修正は容易です。

 きれいなメタリックやパールを使いたいのが人情ですが、これらの色は、隠ぺい性がない(=透明度が高い)ので、何度も塗り重ねる必要があります。塗料が垂れたり、埃がついたときの修正も容易ではありません。素人であれば、黒、アイボリー、ベージュ、モスグリーン等、作業性を考慮して色選びをすべきでしょう。その方が結果的にはきれいに仕上がります。

 使用する塗料は、アクリル系塗料です。アクリルとは、使用されている樹脂の名前です。素人には、作業しやすい塗料です。ふた昔以上前は、板金屋さんでもアクリル系を使っていたのですから、これで十分です。
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(関西ペイントのアクリルシリコン系塗料。今回は、これを使います。)

 最近は、スプレー缶でも二液混合のウレタン系塗料を使用することが出来ますが、これは硬化剤を混ぜたらすぐに使い切らないと、中身が固まってしまいます。ちょっと塗って、乾燥させて、また次週にちょっと塗って、乾燥させて・・、といった呑気な作業をすることはできません。値段も、アクリル系の倍以上します。
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(ウレタン系もいろいろ選べます。ウレタンも樹脂の一種です。塗膜の丈夫さ、美しさで選ぶならこちら。)

 缶スプレー塗料は、缶の中に封入したガスの圧力のみで塗料を噴射する構造のため、塗料自体が薄めに調整されています。したがって、一度できれいに塗ろうと焦ってしまうと、必ず塗料が垂れます。また、噴射圧や口金の調整はできないので、細かいところに塗料が入りにくいという弱点があります。塗装するときは、これらの特性を十分理解したうえで、耐えるべきところは耐え、妥協すべきところは妥協することになります。


 ちょうど暖かくなって、塗装するのに適した季節になってきました。無風の日を選んで、屋外で作業します。近所の人々に気づかれないように、サササッと塗っては、コソッと隠れます。忍者気分です。

では、また・・。
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posted by 司法書士 前田 at 06:21| Comment(0) | 自転車

2015年03月29日

安い自転車に感謝を込めて・・(化粧直し編1)

 せっかく自転車を分解してフレーム単体にまでしたのですから、普段はやらないことまでこだわってみたくなりました。そこで、今回からは、フレームの化粧直しを始めます。「化粧直し」とは、小加工と塗装のことです。


・ 要らないものを撤去
 この自転車は、もともと多段変速でしたが、購入して間もなくシングルスピードにして使ってきました。シングルスピードにすると、シフターケーブルを固定するガイドは必要ありません。また、フレームエンドに、泥除けやラックをつけるためのダボがついていますが、一度も使ったことがありませんので、要りません。
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(施工前。ガイドやダボが邪魔ですね。)

 そこで、この機会に、すべてのガイドとダボを撤去して、スッキリしたフレームにしてしまうことにしました。

 使用するのは、金属用ノコギリとヤスリです。ノコギリで切り取った跡を、ヤスリで大雑把に整形します。細かな部分には、工作用のルーターを使います。錆びて塗装が浮いている部分も、紙やすりなどで大きめに削ってしまいます。
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(傷つけたくない部分には、ビニールテープなどで養生しておきます。)
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(ただの力技です。)
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(取れました。)
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(ヤスリで大雑把に整形。)
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(整形後のエンド部。)
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(整形後のブレーキワイヤー・ガイド痕。)
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(ルーターで細かく整形。)

 ついでに、チェーン・テンショナーを取り付けるために、ディレイラー・ハンガーに、テンショナーの爪が引っかかる窪みをつけてみました。
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(テンショナーの取付け角度を修正するため、ハンガーを削りました。)
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(施工後。すっきり!)



 こんな乱暴なことができるのも、鉄自転車ならではです。決して真似してはいけません。

 では、また・・。
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posted by 司法書士 前田 at 06:44| Comment(0) | 自転車

2015年03月28日

携帯電話の名義貸しについて

 今回のテーマは、各種のメディアや公益団体等から繰り返し注意喚起されているものですが、いまだに私のところにも相談が持ち込まれるので、あえて繰り返させていただきます。


1. どんな手口か?
 以下のような宣伝文句を見たり、聞いたりしたことはありませんか?

・「携帯電話契約だけで、1台当たり〇円の簡単なアルバイト。」(バイト型)
・「あなたの携帯電話を〇円で買い取ります。」(買取型)
・「携帯電話でお金を貸します。」(貸金型)

 これらは、全て不正な目的で行われているものです。決して、これらの宣伝につられてはいけません。

 上記のように、宣伝の方法は、アルバイトを勧誘するものであったり、中古携帯電話機の買取りサービスを装ったものであったり(リサイクルショップがやっているような、単なる中古携帯電話機の買取のことではありません。)、携帯電話を担保にお金を貸すというものであったりしますが、これらは全て携帯電話利用契約に関して契約者の「名義貸し」を誘うものです。
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 不正入手された携帯電話の使い道は、オレオレ詐欺、不正請求詐欺、恐喝、その他の組織的犯罪等、様々です。他人名義の携帯電話を入手するということ自体が既に犯罪行為なのですから、その利用目的もまともであるはずがありません。


2. 何が悪いのか?
 利用者が特定できない携帯電話が、犯罪行為に悪用される例が多発したことから、「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」(以下、「携帯電話不正利用防止法」という。)が、携帯電話利用契約時の事業者の本人確認義務や、契約名義の譲渡・譲受け禁止等を定めています。

 携帯電話不正利用防止法の違反行為に対しては、罰則も定められています。例えば、名義貸し行為については、名義を譲渡した側に対しても、譲受けた側に対しても、「2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」(同法第20条1項及び2項)と定められています。引っかけたほうだけではなく、引っかかった方も、犯罪を行ったことになるのです。

 また、単なるアルバイト感覚で、自分で利用料金を支払うつもりもなく、携帯電話会社と契約した者については、詐欺罪(刑法246条)が成立します。引っかかったからと言って、被害者ヅラはできません。


3. 契約上の支払い義務
 携帯電話会社との契約をした利用者は、自分で携帯電話を利用するつもりがなくても、携帯電話の利用料金を支払わねばなりません。

 また、名義貸し行為を行ってしまった後で、急いで携帯電話の利用契約を解除しようとしても、携帯電話機代金の一括払いを含む高額の支払いをしなければなりません。


4. うまい話か?
 携帯電話会社と契約をするだけのアルバイトなり、携帯電話を譲渡するなり、携帯電話を担保としてお金を借りるなりして、得をしたと思ったら大間違いです。そんなことをして手に入れたお金は、自分が犯罪者になること、契約上の高額の支払い義務を負うこと、さらには他の犯罪行為を助長することと引き換えするほどのものなのですか?
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posted by 司法書士 前田 at 05:45| Comment(0) | 金銭トラブル

2015年03月27日

任意後見制度とは

 通常、人は、自分の判断で、住む場所やライフスタイルを選択し、必要に応じて財産を利用・処分します。しかし、このような判断を自分ですることが出来なくなったとしたら、どうするのでしょうか?

 今回は、判断能力の低下に備えるための制度の一つである「任意後見制度」について整理してみましょう。
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1. 任意後見制度とは
 任意後見制度とは、本人が、将来精神上の障害のために自身の判断能力が失われてしまう事態に備えて、予め他人に対して一定の代理権を付与する旨の契約(以下、「任意後見契約」という。)を結んでおき、実際に本人の判断能力に問題が生じたときに、家庭裁判所の選任にかかる監督人のもとで、任意後見人が代理行為を行うという制度のことです。



2. 法定後見制度との違い
 任意後見制度に類似した制度に、法定後見制度があります。どちらも、判断能力が不足又は欠如した本人の、財産管理や身上監護をするための制度です。

(1)代理権等の範囲
 法定後見制度は、本人の判断能力の程度によって、後見類型(事理弁識能力を「欠く常況にある」民法第7条)、保佐類型(事理弁識能力が「著しく不十分である」民法第11条)及び補助類型(事理弁識能力が「不十分である」民法第15条)に分かれます。法定後見制度を利用するためには、一定の者からの家庭裁判所への審判開始申立てが必要ですが、任意後見制度のように予め契約によって準備する必要はありません。

 後見事務の内容である代理権等(代理権、同意権及び取消権)の範囲についても、任意後見制度においては契約によって定められるのに対して、法定後見制度においては法定されるか審判によって付与されます(後見類型における代理権について民法859条等、保佐類型における同意・取消権について民法第13条等)。


(2)両制度の優先関係
 本人の意思を尊重するという趣旨から、任意後見制度と法定後見制度が競合する場合には、原則として任意後見制度が優先します(任意後見契約に関する法律第10条、同法第4条2項)。


(3)家庭裁判所の監督
 任意後見契約が発効するためには、本人の事理弁識能力が「不十分な状況」になったときに、申立てにより家庭裁判所が監督人を選任しなければなりません(任意後見契約に関する法律第4条)。

 監督人選任以降、任意後見人は、報告義務等を通じて、監督を受けます。しかし、家庭裁判所が任意後見人を直接監督することはありません(任意後見契約に関する法律第7条)。また、任意後見人に不正行為があったような場合でも、家庭裁判所が申立てによらずに職権で任意後見人を解任することもできません(任意後見契約に関する法律第8条)。

 これに対し、法定後見制度においては、家庭裁判所が、後見人等(成年後見人、保佐人、補助人)に対して、報告徴求や調査等を通じて、直接監督権を行使することが出来ます(民法第832条)。また、家庭裁判所は、必要に応じて職権で後見等監督人をつけることもできるし(民法第849条等)、後見人等の不正行為を認知したときには職権でこれを解任することもできます(民法第846条等)。



3. 任意後見契約の特徴
(1)要式行為
 任意後見契約は、法務省令で定める一定の様式に従って、公正証書によって行う要式契約です(任意後見契約に関する法律第3条)。さらに、任意後見契約は、公証人の嘱託によって、登記されます。


(2)委任事項の定め方
 委任事項の定め方については、法務省令に規定される第1号様式又は第2号様式を用いることとされています。

 第1号様式とは、予め列挙された委任事項にチェックを入れる方式です。以下のようなものです。

(第1号様式)
A 財産の権利・保存・処分等に関する事項
 A1□ 甲に帰属する別紙「財産目録」記載の財産及び本契約後に帰属する財産(預貯金〔B1・B 2〕を除く)並びにその果実の管理・保存
 A2□ 上記の財産(増加財産を含む)の処分・変更
B 金融機関との取引に関する事項
 B1□ 甲に帰属する別紙「預貯金目録」記載の預貯金に関する取引(預貯金の管理、振込依頼、払い戻し、口座変更・解除等。以下同じ)
(以下略)

 第2号様式は、自由記載方式です。例えば、以下のような包括的な定め方がなされます。

(第2号様式)
1 不動産、動産等すべての財産の保存、管理及び処分に関する事項
2 金融機関、郵便局、証券会社及び保険会社とのすべての取引に関する事項
  (以下略)

 実務上は、第1号様式よりは、第2号様式が用いられることが多いようです。その理由は、代理権の範囲に関して漏れの無いように記載するためと考えられます。このようにすると、法定後見の後見類型に近い範囲の代理権を、任意後見契約で定めることになります。



4. 問題点
 任意後見契約を締結しても、それがすぐに発効するとは限らないため、任意後見制度の問題点については、まだ顕在化していないようです。しかし、この制度に濫用の危険はないのでしょうか?

(1)家庭裁判所の監督の問題
 上記2(3)で述べたように、家庭裁判所の任意後見人に対する監督は、間接的なものに過ぎません。家庭裁判所の直接的な監督機能は、監督人選任審判においてのみ発揮される(任意後見人に不適格な事由があれば、家庭裁判所は、監督人選任審判を却下することが出来ます。)に過ぎません。任意後見人に不正行為があっても、家庭裁判所がそれを発見する能力を持たず、職権で解任することもできないのでは、監督機能として十分と言えるでしょうか?
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(2)包括的代理権を与える契約の問題
 上記3(2)で述べたように、任意後見契約によって任意後見人に対して、広範で包括的な代理権を与えることが出来ます。任意後見契約締結時点では、本人に不十分であっても判断能力が備わっているのですから、契約を締結する能力自体に問題があるわけではありません。しかし、そんな「なんでも代理権」を他人に容易に与えてしまう契約を締結することの結果を、本人は本当に理解しているのでしょうか?

 任意後見契約を、公正証書という方式によって締結しなければならないとしたことの趣旨は、公証人に一定の監視機能を持たせることにあります。そのため、公証人は、本人に任意後見契約締結の意思があるのかを、一定の書類を提出させるとともに、直接面接して確認しなければなりません。しかし、そのことだけで、本人が契約の結果を理解しているということが本当に担保されるのでしょうか?



5. 法定後見制度との適切な使い分け
 私見は、任意後見制度のような監督機能の不十分な制度のもとで、任意後見人が広範で包括的な代理権を持つべきではないというものです。

 任意後見契約の発効条件たる監督人選任審判は、本人の事理弁識能力が「不十分な状況にあるとき」(任意後見契約に関する法律第4条1項)に行われます。これは、法定後見制度の補助類型の審判要件と同等です。しかし、補助人には、特に審判によって付与される同意・取消権及び代理権という限定された権限しかありません(民法第17条、同法第876条の9)。この差は、合理的と言えるでしょうか?

 確かに、財産の管理を、自身が信頼する第三者に任せたいという要求に対して、法定後見制度では応えることが出来ません。そこに、任意後見制度が存在する意味があるのです。しかしこの制度は、濫用の危険に対して十分な対策を欠いているように思えてなりません。

 任意後見制度を安全に運用したいのであれば、委任事項を必要な範囲に限定し、その範囲で十分な後見事務が行えなくなったときには、速やかに法定後見制度へ移行させるような措置を講ずる等すべきでしょう。はたして、そのような運用が期待できるのでしょうか?
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posted by 司法書士 前田 at 09:22| Comment(0) | 成年後見

2015年03月21日

安い自転車に感謝を込めて・・(ホイール調整編2)

 今回は、ホイール調整の後半です。Aハブの玉あたりの調整とBホイールの重量バランス調整を行います。後ホイールの話が中心になりますが、もちろん前・後輪とも同じ作業を行います。

1. ハブの整備
(1)余談から
 回転部分にはベアリングが使用されるのが通常です。自転車の回転部分にもベアリングが多く使用されています。

 最も一般的なのは、玉受け(カップ)と玉押し(コーン)でベアリング球を挟む形式のものです。これを、カップ&コーン式と呼びます。玉受けと玉押しの締め付け具合を調整することができ、定期的に整備をすれば、使い手の思う性能を発揮させることができるし、ン十年の使用に耐えるものです。反面、整備を怠れば、本来の性能を発揮しないばかりか、すぐに使い物にならなくなります。

 カップ&コーン式のベアリングである限り、それがハブであろうが、ヘッドであろうが、ボトムブラケットであろうが、ペダルであろうが、調整方法は全て共通です。玉受けと玉押しの締め付け具合を選択し、ロックリングで選択した状態を固定するだけです。

 自転車のベアリングには、球ではなく棒形状をしたニードルベアリングや、玉受け・玉押し・ベアリング球の全てを封入(シール)してしまったシールドベアリングなどもありますが、これらは調整不能です。調子が悪くなれば、交換すべきものです。リング形状のブッシングも、ベアリングの一種です。


(2)分解
 ハブを分解するには、コーンレンチで玉押しを固定しながら、スパナ等でロックリングを外します。
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(ロブスター印の日本製モンキーレンチ。調整ネジが滑らかで使いやすい。おや?持ち方が逆・・。)
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(グリスは、ちょっと汚れているくらいでした。)
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(マグネットのピックアップツールでベアリングを取り出します。)

 分解したら、ウエス(ぼろきれ)で綺麗に各部を清掃して、摩耗やキズの有無を確認します。交換用のベアリングも準備していましたが、今回は摩耗していなかったので、交換しないで古いものをそのまま使うことにします。
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(カップに傷はない。)
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(コーンに傷はない。)
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(1/4インチ=6.35ミリ。全然痩せていない。)
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(今回、ベアリングは交換する必要がありません。)

 ちなみに、機械いじりをする時には、本来はスパナ等のオープンエンドの工具を使うべきではありません。オープンエンドの工具は、不安定なので力がかけづらく、部品を損傷する可能性が高いからです。なかでも、モンキーレンチ(アジャスタブルレンチ)は、緊急用工具であって通常整備のための工具ではありません。しかし、自転車整備においては、何故か変なサイズのボルトが多用されているため、何となくオープンエンドの工具を使うのが当たり前のようです。私も使ってしまっているので、偉そうなことは言えませんね。


(3)フリーの整備は必要か?
 フリーボディーは、スプロケットをはめる位置にある筒状のユニット部品です。フリーギアは、クランクから入力した正回転の力のみをホイールに伝え、逆回転の力を逃がすという役割を持っています。フリーギアの形式はいろいろあれど、その内部構造はどれも同じです。ベアリングも入っているので、他の箇所と同様に、清掃・グリスアップしたり、調整したりすることができます・・本来は。
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(これがフリーボディー。)

 ところがシマノのフリーボディーは、分解整備を予定したものではありません。調子が悪くなったら、フリーボディーをユニットごと交換すべきだというのが、メーカーの立場らしいです。フリーを構成する部品を注文することもできません。
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(圧入された金属のフタによって、分解することができません。無理すれば分解できるけど・・。)

 しかし、多くのユーザーは、車体を水洗いしたり、パーツクリーナーをかけたり等、いろいろな方法で自転車を可愛がるので、どうしてもフリーの性能が落ちてきてしまいます。そこで、分解せずにフリーボディーを整備する方法をちょっと書いてみたいと思います。

 フリーボディーの整備が必要かどうかは、クランクを逆回転させた時に、クランクの動きに合わせてホイールがどの程度逆回転するのか、回転した時に異音がするか、で判断します。多少ホイールが逆回転する程度なら、フリーボディを整備する必要はありません。ホイールがめちゃめちゃ逆回転するようであれば、フリー内部で、グリス切れや変質、汚れの堆積、ベアリング等の破損が疑われます。異音までした場合は、内部でベアリング等が割れている可能性があるので、潔く新しいフリーボディーを買いましょう。整備可能といっても、清掃・グリスアップだけなのです。
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(クランクを逆回転させて、ホイールがついてこなければ正常。)

 フリーボディーは、10ミリの六角棒レンチをドライブ側(右側)から突っ込んで回せば取り外すことができます。フリーボディの裏側にゴムのダストシールがついていますので、これを傷つけないようにはずしておきましょう(ベアリングが見えるようになります)。

 使用するのは、油性ペイントうすめ液や灯油です。これにフリーボデイーごと漬け込んで、ジャブジャブ洗います。一晩漬け込むくらいじっくりとやります。すると古いグリスと一緒に汚れが出てきます。汚れの中に大きな金属片が混じっていたら、潔く新しいフリーボディーを買いましょう。
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(「油性」うすめ液です。隣は、CRCのチェーンルブ。滞留性が抜群なので、グリスとして使えます。)

 フリーボディーを洗ったあとは、内部を完全乾燥させます。その後、隙間からスプレーグリスを溢れるほど注入すれば完成です。グリスの使用目的とは、施工部分に長期間留まることによって、潤滑したり、水を防いだり、焼き付きを防止したりすることにありますので、目的に合ったものであれば、どんな種類を使おうが構いません。
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(ベアリングに使用可能なものなら、どれでも良いと思います。)

 今回、私の後ハブについているフリーボディは、回転上の問題がなかったので、上に書いたような整備は行いませんでした。(写真がないのは、実際に整備していないからです。)調子が悪くないのにいじり倒すのは、かえって調子を悪くする原因になってしまいます。手入れと手抜きは表裏の関係にあるのです。

 もちろん、ここに書いたことは、メーカーが推奨していることではありませんので、行うときは、自己責任です。


(3)グリスアップと玉あたり調整
 (2)の続きです。

 左右の玉受けにたっぷりとグリスを詰め込んで、ピンセットでベアリングを並べていきます。シマノのハブ(なんちゃってシマノを含め)の場合、大抵、後バブには1/4インチ球が、片側9個ずつ入ります。前ハブには、3/16インチ球が、片側10個〜11個入ります。分解した時に、ベアリング球の数は確認しておき、同じ種類と数の球を入れます。
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(シマノのグリスは青りんごゼリーのよう・・。)
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(ピンセットで球を並べて・・。)

 ドライブ(フリー)側から、玉押しを装着した状態のハブシャフトを、そーっと挿入します。
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(並べた球を脅かさないように、そーっと・・。)

 最初は、指で当たり具合を見ながら、玉押しの位置を決めます。試しにロックリングを軽く締めてみて、回転を確かめてみます。ゴリゴリという感触が指に伝われば、玉押しを締め過ぎです。ハブシャフトがガタガタと動くようであれば、緩すぎです。
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(指で締めて行って、見当をつける。)
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(仮締めして具合をみる。)
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(ゴリもガタもない状態。最終的には、フレームにホイールを組み付けた状態で、ホイールがブレるかどうかの確認も必要です。)

 玉あたりの調整は、試行錯誤ですので、何度か同じことを繰り返しながら、最適な回転を得られる位置を決めていきます。玉押しの位置が決まったら、コーンレンチで玉押しを押さえながらロックリングを締め付けて固定します。


2. ホイールの重量バランス調整
(1)なぜ必要か?
 自動車やオートバイのタイヤ交換をお店に頼むと、タイヤを交換するだけでなく、必ずホイールの重量バランス調整もやってくれます。普段、当たり前と思って、気にもかけていないことですが、なぜバランス調整をしているのでしょうか?

 タイヤやホイールは、製品のばらつきのため、バルブ等の部品のため、その他の理由で、円周の部分部分によって重量にバラつきが生じています。重量にバラつきがある状態で、ホイールが高速回転すれば、遠心力のために、重い部分は他の部分よりも余計に外側へ引っ張られて、タイヤの接地状態が不安定になります。不安定な接地状態では、加速も、コーナリングも、乗り心地も悪いのは当然です。

 自転車といっても、平地で時速40キロメートル、下り坂では時速60キロメートルを超えるような速度が出るのですから、自動車と同じようにバランス調整は必要なのです。


(2)バランス調整の方法
 使用する道具は、振れ取り台と板オモリです。振れ取り台を使用しないでも、フレームに装着した車輪を、スタンドで浮かせば、同じ作業をすることができます(ただし、チェーンをスプロケットから外しておきます)。板オモリは、ゴルフのヘッド調整用のものか、釣り用のものが便利です。
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(ゴルフ用。両面テープが付いていて使いやすい。)

 振れ取り台に車輪を装着して、車輪を回転させてみます。すると、車輪のどの部分が一番重いのかがわかります。円周の一番重い部分の、正反対に、適当なオモリをセロテープで仮止めします。そして、また車輪を回転させては、一番重い部分がまた真下になって止まるかどうかを確認します。オモリを足したり引いたりして、この作業を繰り返しながら、車輪のどこにも重量の偏りのない状態を探っていきます。これも技術ではなくて、試行錯誤の問題です。
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(仮留めの状態。)

 オモリを貼る位置と重量とが確定したら、ホイールに本貼りします。ブレーキシューと干渉するようなところに貼ってはいけません。
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(美しくオモリの貼ってあるホイールを見ると、「こいつ只者ではないなっ!」と思う・・。)

 以上、文章にすると長ったらしいですが、とても簡単な作業でした。
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(完成。)



 自転車というのは、とても単純な作りをしており、ちょっと仕組みさえわかれば、誰でも気軽にいじることができます。いろんな意味で、人間に近い乗り物です。
 私がここでいじっているのは、鉄製のシングルスピードの自転車です。今回の整備のためにフレーム単体にまで分解したので、試しに体重計で測ってみたところ、3キログラム弱もありました。えらく重い自転車であることを、数値で知ってしまいました。他人から見たらガラクタなのでしょうが、そのガラクタっぽいところも人間味を感じてしまいます。

 では、また・・。
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posted by 司法書士 前田 at 13:10| Comment(0) | 自転車