2016年03月03日

電子政府への道のりは・・(e-Taxソフトを使ってみた感想)

 確定申告の時期です。「今年こそは、e-Taxを使ってみようか」なんて、軽い気持ちで試してみたのですが、予想以上に大変で・・。
computer_manual_man.png


1. e-Taxを試してみようか?
 行政の簡素化を目指すための一つの手段として、行政機能のうちの多くをオンライン化してしまうという方法があります。いわゆる「電子政府」とは、このようなことを指します。活用場面をちょっと具体的に想像してみるだけでも、電子政府には多くのメリットがありそうだと感じます。例えば、自宅のパソコンから行政サービスにアクセスすることが出来れば、市民にとっては、わざわざ役所に出向いて行くという大きな手間を省くことが出来ます。一方、行政にとっては、データ入力、照合、管理等の労力を大幅に削減することが出来ます。
zei_etax.png

 司法書士である私は、すでに長い間、登記(不動産、商業等)のオンライン申請を行ってきました。しかし、この制度は、創設当初予想されていたのとは違って、一般の市民の間に普及することはありませんでした。その理由は簡単です。わざわざオンライン申請のための準備(電子証明書取得や専用ソフトのインストール等)をする手間と費用をかけても良い(=メリットが勝る)と考える人達は、登記申請を仕事にしている司法書士くらいしかいないからです。

 一方、所得税の確定申告は、登記申請と違って、多くの市民にとって馴染みのある手続きであり、オンライン化のメリットはとても大きく、その影響も広範であると言えるでしょう。税務のオンライン申告・申請のシステムは、「e-Tax」と呼ばれており、この呼び名も広く認知されるようになりました。

 そこで、今年の確定申告は、私もかねてから興味のあったe-Taxを試してみることにしたのです。さて、結果やいかに・・。


2. 国税庁の「確定申告書作成コーナー」
(1) 書面作成が簡単
 私は、確定申告の時期が近づくと、いつも国税庁HP「確定申告書作成コーナー」( https://www.keisan.nta.go.jp/h27/ta_top.htm#bsctrl )を利用して、申告書を作ってきました。ここでは、e-Tax(=オンライン)で税務申告を行う場合だけでなく、書面申告を行う場合でも、比較的簡単な操作で申告書類を作成することが出来ます。パソコンがインターネットに繋がってさえいれば、それ以上の準備をする必要もありません。あとは、作成した申告書類をプリントアウトして、管轄の税務署に郵送するなり、持って行くなりすれば税務申告が済んでしまいます。
作成コーナー画面(書面).png
(書面作成には便利なコーナー)

 もちろん同コーナーからe-Tax用の申告データを作成することも可能です。申告データ作成と言っても、紙の申告書を作るのと同じ事項を入力するだけなので、操作上ほとんど差はありません。しかし、申告データを作成した後、それを税務署に送信するためには、単に封筒に書類を入れて郵送するのとは違った手間がかかります。

(2) 「壁」:e-Taxの何を手間と感じるのか?
 オンラインというのは元来匿名性の高いものなので、オンラインで行政手続きを行う際には、申請・申告人の本人確認の手段が必要になります。このことは、別に行政手続きに限ったことではありません。仮に、将来、重要な契約ですらオンラインで締結されるのが一般化するような世の中が実現するとしたら、オンラインで契約する際には、私人間の契約であっても、当事者の本人確認をする手段が必要になります。

 この本人確認手段が、「電子署名」という仕組みです。丁度、大事な書類には実印を押すのと同じように、大事なデータには電子署名をして本人がデータを送信したことを証明するというわけです。また、実印を押すためには予め市役所等に印鑑を登録する必要があるのと同じように、電子署名するためには予め電子証明書発行機関に登録して電子証明書を得ておく必要があります。

 しかし、電子署名の仕組みが普及していないために、従来、電子証明書発行を申請する人は、それ程多くはなかったように思えます。現時点(平成28年3月)で最も一般的な電子証明書は、住民基本台帳カードに搭載された電子証明書です。この電子証明書を得るためには、市役所等の窓口で、住民基本台帳カードの発行申請することに加えて、電子証明書の発行申請をする必要があります。住民基本台帳カードは、プラスチックの身分証明書であるとともに、電子証明書を格納するための記憶媒体でもあるわけです。

 運転免許証を持っていない人など、身分証明書代わりとして住民基本台帳カードを取得する人はいたでしょうが、そのうえさらに電子証明書を取得する人は、いったいどのくらいいたのでしょうか?仕事で年がら年中電子署名を利用しているという非常に稀な人達を除いて、年に一回しかない確定申告のために、住民基本台帳カードを申請し、さらに電子証明書の発行申請をするような人は、そう多くないのではないでしょうか。

 さらに、カードに格納された電子証明書を利用するためには、「カードリーダー」という専用の読み取り装置を使用しなければなりません。カードリーダー自体は、それ程高価なものではありませんが、使用頻度の低いパソコン周辺機器を買い揃えるというのは、誰にとっても結構決断のいるものです。


3. いざe-Tax・・?
(1) 私の電子証明書ではだめなのか?
 私は登記申請等のために既に電子証明書を所持し、いつも電子署名を利用していたので、当然、e-Taxを利用するのに「壁」はないものと思っていました。私の所持している電子証明書は、住民基本台帳カードのようなカード格納式の物ではないけれど、e-Taxに対応しているということも確認してありました。そこで私は、e-Taxが利用可能であることを前提に、国税庁HP「確定申告書作成コーナー」で確定申告書と青色決算書のデータを入力しました。

 出来上がった申告データを送信するためには、予め国税庁のシステムに自分の電子証明書を登録しておく必要があります。この登録は、上記国税庁のHPから行うことが出来ます。しかし、ここで予想外の「壁」が出てきたのです。なんと、国税庁HPの電子証明書登録画面は、カード格納式の電子証明書にしか対応していないのです。
作成コーナー画面(登録).png
(電子証明書の登録が必要)

 カード格納式でない電子証明書を所持する人もいるであろうに、カードリーダーが無ければ電子証明書を登録できないなんて、そんなわけはないだろうと思い、私は、国税庁のヘルプデスクに電話をかけ、この点について質問してみました。

 最初に応答したヘルプデスクの職員は、「カードタイプ以外の証明書を登録するためのボタンがあるはず。」と教えてくれましたが、そんなボタンは画面のどこを探しても見つかりませんでした。そこで、再度ヘルプデスクに電話をかけると、応答した職員は、ちょっと調べた後に正解を教えてくれました。
証明書登録画面.png
(三種類のカード格納式電子証明書の登録しか受け付けない)

 結局、HPから登録できるのは、カードタイプの3種類の証明書だけということでした。それ以外の電子証明書を登録するためには、「e-Taxソフト」(国税庁の無料配布ソフト)をインストールしたうえで、このソフトを使って登録しなければならないということでした。私は内心、「税務の専門家でもない自分が、税務申告のための専用ソフトウェアをインストールする意味があるのだろうか?」と疑問を抱きましたが、半分意地になっていたので、e-Taxソフトをインストールして使ってみることにしました。

 確かに、教えられた通り、e-Taxソフトを利用すれば、国税庁のシステムに、私の電子証明書を登録することが出来ました。しかし、国税庁HP「確定申告書作成コーナー」を使って入力した申告データの再利用は出来ないらしく、e-Taxソフトを使って確定申告・決算データを入力しなおさなければなりませんでした。

(2) 結局、e-Taxできたのか?
 よし!電子証明書の登録も出来た。申告データ一式も作成できた。あとは、申告データに電子署名を付して、送信ボタンをクリックするのみ・・。しかし、結局、私は、今年も申告書をプリントアウトして税務署に持って行くことにしました。何故でしょうか?

 その理由は、e-Taxソフトの操作中に、頻繁に煩わしい警告画面が出てきたためです。一部の入力項目には自動計算を行う関数が入っており、手計算の結果と自動計算の結果とが齟齬すると、警告を発する仕組みになっているのです。このこと自体は、どんなソフトにもある機能です。しかし、警告画面が出た後に、手計算を優先するように操作を進めても、同じ警告は度々出続けます。ついには、電子署名しようとした瞬間にも同じ警告が現れました。ここで私は、「ひょっとすると、自分の計算のどこかが間違っているのか・・?」と感じ、操作を中断しました。

 その他、e-Taxソフトには、分かりにくい部分が満載です。毎日繰り返し使うソフトウェアならば、多少使い勝手が悪くても、その操作や癖に習熟するのが筋でしょう。マニュアルも隅から隅まできちんと読むのが筋でしょう。しかし、税務の素人が年にたった一回使うのですから、もっと直感的に操作できる造りになっていなければ、使い物にはならないと思うのです。


4. マイナンバーでどう変わるのか?
 平成28年1月1日から「マイナンバー制度」がスタートしました。マイナンバー制度とは、非常に省略した言い方をすれば、複数の行政官署間で個人情報を共有する仕組みのことです。従来、たとえば社会保障を受ける申請のために、申請者自身が関係官署を回って税証明等の書類を集めなければなりませんでしたが、マイナンバーがあれば、社会保障担当窓口で申請者の必要情報を照合することが可能となるので、そんな手間は要らなくなります。
001.png

 いろいろとメリットのある反面、個人情報流出等のデメリットも憂慮されているマイナンバー制度ですが、ここではその議論に首を突っ込むつもりはありません。話題にしたいのは、マイナンバー制度と同時にスタートした公的個人認証(電子証明書)制度のことです。

 昨年(平成27年)秋から、住民登録のある国民すべてに対して「通知カード」というマイナンバーを確認するためのカードが郵送されました。このカードには、被通知者の住所、氏名及びマイナンバーが記載されており、今後、社会保障・税・災害対策の各種行政手続きにおいて被通知者のマイナンバーを確認する書類として提示を求められます。

 しかし、通知カードは、マイナンバーを確認するものに過ぎず、カード所持者の本人同一性を確認する目的には使えません。通知カードは、顔写真すらついていないただの紙ペラ(と言っても、偽造防止処理は施されています。)なのですから当然のことです。本人確認するためには、従来通り、運転免許証等の身分証明書を提示する必要があります。

 そこで、マイナンバー確認と本人確認の機能を兼ね備えたカードがあれば便利ですが、実はそんなカードが用意されているのです。誰でも市役所の窓口で申請すれば、「マイナンバーカード(個人番号カード)」と呼ばれる顔写真付きのプラスチック製カードの交付を受けることが出来るのです。
my_number_card.png

 あまり知られていないことですが、マイナンバーカードには、上記機能(マイナンバー確認及び本人確認)の他に電子証明書機能という「オマケ」がもれなくついています。住民基本台帳カードと違って、電子証明書交付のために別途の申請は必要ありません。
000392653.jpg

 従来、住民基本台帳カードを所持していても、これを利用する場面というのはさほど多くはありませんでした。利用場面が少ないことの結果として、住民基本台帳カードを持っている人も少数派にすぎませんでした。

 これに対して、今後、マイナンバーを利用する機会は確実に増えるでしょう。すると、この際、マイナンバーカードを交付申請してみようと考える人も増えるのではないかと予想されます。そして、マイナンバーカード所持者が増えるということは、所持者本人が希望すると否とに関わらず、電子証明書の所持者が増えるということでもあるのです。

 役人さん達は、「多くの人が電子証明書を持つようになれば、e-Taxのような電子政府を支える制度の利用も自然に進むに違いない」と、秘かに考えているのかも知れません。しかし、今年、私が確定申告書を税務署の窓口に提出した時に抱いた感想は、そんな楽観とはかけ離れたものでした。
zei_kakuteishinkoku.png
にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 神戸情報へ
にほんブログ村
posted by 司法書士 前田 at 14:44| Comment(0) | 日記

2016年01月28日

2×4材で作るバイクラック(バイクスタンド)

 実は、引っ越しに伴って、私の自転車達が家から追い出されてしまうという悲しい事態が生じてしまいました。私の自転車達は、現在、事務所のオブジェと化しています。

 そこで、自宅に自転車の置き場所を確保するために、バイクラックを作ることにしたのです。家の中に置くのだから、見た目も大事です。格好良い方が、要らぬ反感を買うこともないし・・。
DSC_0008.JPG
(「オブジェ」と言うには、あまりに雑然として・・。)


1. 材料
 材料は、以下のとおり。

 ・2×4材(6ft=1820mm): 5本
 ・ソーホースブラケット: 1セット(2個)
 ・木ネジ、又は釘: 24本

 2×4(ツーバイフォー)材とは、38mm×89mmの断面規格の木材のことです。DIY好きな人にはお馴染みの材料です。加工しやすく、強度や耐久性もあるので、バイクラックには適材です。
2×4.jpg
(2×4材。ツーバイフォー工法で建築材料として使用される。)

 ソーホースブラケットとは、2×4材を連結して、ノコギリの作業台(ソーホース)を作るための専用金具です。
sawhorse.jpg
(sawhorse「ノコギリ馬」と言うのです。)
DSC_0003.JPG
(fulton社のソーホースブラケット。2個で1セット。)

 2×4材は、1本200〜300円程度。ソーホースブラケットは、1セット1000円くらい。材料はこれだけなので、立派なバイクラックが3000円とかからずに出来てしまうのです。


2. 作業
 脚になる木材の長さは、自転車のサドルを引っかけた時に、後輪が適度に宙に浮き、前輪が床に接地する程度にします。梁(サドルを引っかける部分)になる木材の長さは、自転車の台数により決まります。

 私は、2〜3台の自転車を置くためのバイクラックを作りたいので、5本の2×4材を全て1050mmに切りそろえました。
DSC_0002.JPG
(木材をステインで色つけ。お好みでどうぞ。)

 次に、長さを整えた2×4材を、ソーホースブラケットで連結していきます。
DSC_0004.JPG
(金具に木材を差し込んで、ネジで留めるだけ。)
DSC_0005.JPG
(脚になる部分が完成。)

 「ああーっ」という間に完成です。
DSC_0007.JPG
(あっけないくらい簡単に完成しました。その割にオシャレですね。)


 これで、私の自転車たちにも市民権が与えられる・・かも知れません。

 では、また・・。

追加写真:
DSC_0001.JPG
(室内に2台の駐輪スペース確保!これ以上は無理か・・)

にほんブログ村 自転車ブログ 初心者サイクリストへ
にほんブログ村
posted by 司法書士 前田 at 16:25| Comment(0) | 自転車

2015年09月28日

フルリジッドのMTBで行こう!(後編)

 今回は、スペシャライズド・ロックホッパー1999のフロントフォーク交換の手順について紹介します。


1. 取り外して比較
 先ず、古いマニトウのサスペンションフォークを取り外します。フォーク周りのネジを順に外すだけなので、具体的な方法は省略します。ヘッドベアリング周辺部品の取り付け順序を間違えないように、外した順序を覚えておきます。
5.JPG
(フォーク周辺部品を取り外す。似たような部品が多いので、取り付け順序を整理しておく。)

 取り外したサスペンションフォークと、これから取り付けるリジッドフォークを比較してみます。並べてみると、加重していないサスペンションフォークと、リジッドフォークの肩下長(下玉押しからハブ軸までの長さ)がほぼ同一であることが分かります。乗車して自然加重した状態で、サスペンションフォークを10mm程度沈む(サグ)ように設定してあったので、リジッドフォークに交換した場合の乗車姿勢は、10mm程度前上がりになるはずです。この程度のフォークの高さの変更であれば、乗車姿勢に関して殆ど差を体感することはありません。
6.JPG
(二つ並べてみれば、サイズの相似がはっきり分かる。)

 次に、重量については、サスペンションフォークが1711gであるのに対し、コラム切断前のリジッドフォークが1511gでした。後ほど、コラムを56g分切断したので、フォーク交換によって、256gの軽量化をすることになります。
7.JPG
(もともと軽くて性能の良いマニトウ・スパイダー。1711g。)
8.JPG
(丈夫さで選べば、選択肢はこれに絞られる。しかし、1511gとは・・。)
14-2.JPG
(切断したコラムが56g。結局200+56gの軽量化。)

 もともと、マニトウのフォークが軽量であったため、重量のあるクロモリのフォークと交換しただけでは、大した軽量化にはなっていないことが分かります。ちなみに、モッソのアルミ製フォークの重量は800g程度だそうですので、軽量化を重視したい人は、そちらにすることをお勧めします。



2. 組付け手順
(1)下玉押しの取り外し
 今回は、下玉押し(クラウンレース)を再利用します。下玉押しは、フォークコラムの下部に圧入されているので、下玉押し下部の隙間にタガネを当てて、ゴム槌で叩いて外します。
9.JPG
(こんな風に、タガネをあてて下玉押しをはじき出す。)


(2)フォークコラムの切断
 そのままのフォークコラムは長すぎるので、適当な長さに切断する必要があります。ここで、私は、パイプカッターを使用して切断を開始しましたが、刃が摩耗してしまい、替刃を在庫していなかったために、途中からやむを得ず金属ノコギリ(ハックソー)で切断することにしました。
10.JPG
(パイプカッターの替刃を在庫していなかった・・。)
12.JPG
(金属ノコギリで切断。切断線の目印として、ビニールテープを巻いてある。)

 金属ノコギリを使用する際には、切断面が垂直になるように、ソーガイドを使用するのが正しい方法です。しかし私は、ソーガイドを使わずに、ビニールテープで目印をつけて切断しました。
straight-toolcompany_22-150.jpg
(パイプを垂直に切断するにはソーガイドを使うのが便利。)

 切断面は、ヤスリをかけてきれいに仕上げます。
13.JPG
(ヤスリでエッジを丸めてきれいにする。)
14.JPG
(美しい仕上げ!)


(3)下玉押しの圧入
 フォークコラムの下部は、コラム本体よりも若干太くなっています。下玉押しは、この太くなった部分に圧入して固定します。
15.JPG
(下玉押しを圧入する前に、コラム下部にグリスを塗っておく。)

 圧入に使う道具は、内径30mmの塩ビパイプとゴム槌です。塩ビパイプを下玉押しにあてて、フォークコラムに打ち込みます。このように仕組みを説明すれば、簡単な作業のように聞こえますが、下玉押しの圧入は、難しい作業の一つです。
16.JPG
(自家製の下玉押し圧入工具、と言っても、ただの塩ビパイプ。)
17.JPG
(塩ビパイプを、ガチコンガチコンと叩くのみ・・、そんなに簡単ではない。)
18.JPG
(格闘の末、下玉押しの圧入成功。)



(4)スターファングルナットの打込みとフォークの装着
 フォークの装着作業は、ベアリングやスペーサーの順番を間違えないように行います。

 フォークコラムをヘッドチューブに挿入してから気づいたのですが、スターファングルナットを打込むのを忘れていました。スターファングルナット(アンカーナット)とは、バネの力によってヘッドベアリングのアタリを適正に保つための部品です。
19.JPG
(フォークをヘッドチューブに通した後に、スターファングルナットを打ち忘れたのに気付いた。)

 スターファングルナットをコラムに垂直に打ち込むためには、専用工具(スターナットセッター)を使用することをお勧めします。専用工具がなくても出来ない作業ではありませんが、失敗する可能性が高くなります。
20.JPG
(専用工具があると、スターファングルナットの打込みに失敗することはない。)
21.JPG
(角度も深さも最適な位置に打ち込んだ。)
22.JPG
(アンカーボルトを適度に締めて、ベアリングのアタリを最適化する。)
23.JPG
(緩んで欲しくないネジには、中強度のネジ止め剤を塗っておく。)



3. 試走
 2015年9月19日、午前中にフォーク交換の終わったロックホッパーで表六甲線を登ってみました。
25.JPG
(いつもの表六甲線。季節はいつの間にか秋に・・。)

 走ってみると、狙い通りの乗り心地です。乗車姿勢の変化は、ほぼ感じません。

 サスペンション付きの自転車では、登坂時のペダリングロスを指摘されることが多いようですが、私はもともと気にしていなかったので、リジッドフォークに交換したからと言って、ペダリングの効率が上がったとは感じませんでした。

 それよりも、はっきりと向上を実感できたのは、不自然な挙動が無くなったことです。特に減速時や旋回時に、タイヤがしっかり踏ん張っていると感じるようになりました。

 サスペンション無しの方がタイヤの接地感が増すというのは、矛盾のように思われるかも知れません。しかし、サスペンション単体で20万円以上するような高級品ならいざ知らず、安い自転車のサスペンションなんて、結局その程度のものなのです。
24.JPG
(すっきりとした姿に。単純であるのが美しいと思う。)


 フォークを交換したついでに、久しぶりに車体重量を測ってみることにしました。これまで色々と弄ってきた車体は、キックスタンドやペダル等を含めても、11sをだいぶ割り込んでいました。古いエントリーレベルのMTBにしては、かなり軽いと思います。と言っても、軽量化を目指したわけではなく、乗り易く故障しにくい自転車にしただけなのですが・・。
c400-26_w.jpg
(アートサイクルスタジオの26インチMTB?ベーシックなものは消費者受けが良くない時代。)
にほんブログ村 自転車ブログ 初心者サイクリストへ
にほんブログ村
posted by 司法書士 前田 at 18:26| Comment(2) | 自転車

2015年09月24日

フルリジッドのMTBで行こう!(前編)

1. リジッドフォークもいいもんだ
 1990年代末ころから、MTBの完成車には、当たり前のようにサスペンションフォークが装備されるようになりました。今では、リジッドフォークのMTBなんて、ルック車に至るまで、ほとんど見かけなくなりました。
0MFB_MuddyFox_650B.jpg
(アラヤのマディフォックス。珍しいフルリジッドMTB完成車。さすがアラヤさん。)

 しかし、バイシクルトライアルやBMXの分野では、今でもリジッドフォークが主流であることからも分かる通り、自転車の使い道によっては、リジッドフォークの方が扱いやすい場面というのは沢山あるのです。いやむしろ、競技者でない普通の人がMTBに乗る場合、下手なサスペンションフォークよりはリジッドフォークの方が、大抵の場面において扱いやすいと言ってもいいくらいです。

 私も、もともとリジッドフォークが好きで、リジッドフォークのMTBを所有してもいます。サスペンション付きのロックホッパーも、いつかはリジッドフォークにしようと思っていました。しかし、フォークの換装となると、お金もかかることだし、なんとなく先延ばしにしていたのです。
3-2author.JPG
(authorのa-gangのフレームに太いアルミのリジッドフォークを組んだ。)

 ところで、最近になって、MTBのホイールサイズが、これまで主流だった26インチから、27.5インチ(650b)や29インチ(700c)に変更され、主要自転車メーカーは26インチMTBの生産を止めてしまいました。その他にも、メーカー側の事情で、短期間のうちに、様々な自転車部品の規格が登場しました。これに伴って、26インチMTB用のパーツの選択肢は激減してしまいました。

 「欲しい部品は、今買っておかないと、今後は中古品で探すしかなくなってしまう。」そう思ったのが、今回、リジッドフォークへの換装を決めた理由です。


2. 候補
 フォークを換装する際に注意しなければならないのは、自転車のジオメトリ(=配置)を出来るだけ変えないようにすることです。ここ15年くらいの間に製造されたMTBは、ほとんどサスペンションフォークを装着することを前提としてフレーム設計されているので、肩下が長めのフォークに対応するようになっています。

 ロックホッパーにもともと付いているサスペンションフォーク(マニトウ製スパイダー)は、肩下430mm、トラベル698mm、サグ(自然加重での沈み込み量)約10mmですので、換装するリジッドフォークも、420±10mm程度であれば、ほとんどジオメトリの変更はないことになります。
2before2.JPG
(スペシャライズド製ロックホッパー1999。当時としては良く出来たサスペンションフォーク。)

 この条件に合うリジッドフォークを探してみましたが、新品で手に入るものは、モッソのアルミ合金製フォーク(肩下410mm)か、バズーカのクロモリ製フォーク(肩下430mm)くらいしかありませんでした。良さそうなものをネットで見つけても、たいていは欠品になっていました。バズーカのフォークも、今年の8月末までずっと欠品が続いていました。ちょっと前までなら、性能の良いアルミフォークも売られていたはずですが、もう製造されていないのでしょうか?
4-2mossomd5.jpg
(MOSSOのアルミ合金MD5フォーク。幅広でカッコいい。)
4-3bazooka.jpg
(BAZOOKAのクロモリフォーク。頑丈そうだけど、重いよ。)

 私は、不整地もたまには走るし、手荒な扱いもするに違いないので、頑丈そうなバズーカの方を買いました。モッソのフォークも、ブレード(刃)形状で、カッコいいと思います。
1before2015.09.05.JPG
(2015年9月5日、妙見山の沢登り。山頂まで自転車を担ぎ上げた・・。)


後編に続く・・。
にほんブログ村 自転車ブログ 初心者サイクリストへ
にほんブログ村
posted by 司法書士 前田 at 17:01| Comment(2) | 自転車

2015年08月29日

うまいラーメンの作り方を教えろ!の巻

 今回は、いつもとは趣向を変えて、思い出した話をしてみます。ちょっと脚色を加えすぎてしまいましたが・・。



 山本の経営するラーメン店『ホームラン軒』は、玄人好みの塩ラーメンが人気です。透きとおった一見何でもなさそうなスープは、口に含むとすっきりと香り、麺に絡むと芳醇な味わいに変化します。『ホームラン軒』は、今では全国からラーメンマニアが巡礼に訪れる『聖地』とまで言われています。昼飯と夕飯時ともなれば、店の前は、毎日長蛇の列でにぎわいます。
ramenya.png

 それは、初秋のある日、昼食の大混雑がひけた午後のことでした。店には、数人の常連らしい客のラーメンをすする音だけが響いていました。

 「はぁ、今日もひと山こえたな。夕方に向けて充電するか。」そう言うと、山本は、弟子の太朗ちゃんに厨房を任せて、一番奥の客席に座って、遅い昼食を食べ始めました。

 ガラガラガラッ・・。

 引き戸の渇いた音がすると同時に、両手にスーパーのレジ袋をさげた初老の男が、『ホームラン軒』に入ってきました。男は、厨房の太朗ちゃんを見つけると、「おいっ、そこの若いの。店の主人はいるか!」と、いきなり怒鳴りつけました。

 山本は、箸を止めると、「私がここの店主ですが、何かご用でしょうか?」と言って、奥から立ち上がりました。

 「おお。あんたが主人か。実は、インターネットでいろいろ調べて、ここのラーメンが旨いと評判だったので、わざわざ隣町から2時間かけて歩いて来たんだ。」

 山本は、「そうですか、お客様。それは、遠いところを大変ありがとうございます。席に掛けてお待ちください。メニューは、テーブルにございます。お水と麦茶はセルフサービスです。」と、穏やかな人柄のにじみでるような調子で言うと、自分の昼食を切り上げて、厨房に戻ろうとしました。

 すると、男は興奮したように両の手をガサガサさせて、「違う、そうじゃない、違うんだ。わしは、あんたにラーメンの作り方を教わりに来たんだ。わしも、近いうちにラーメン屋を出そうと思っとる。是非、あんたの玄人好みの味とやらを教えてくれ。」と、山本に、ググッと自分の顔を近づけました。

 山本は、口をへの字にして、数秒間、もしかしたら数十秒間、じっと店の天井に目をやりました。男は、山本の鼻の穴を探るかのような目つきで、山本の返事を待ちました。

 そのわずかな時間に、山本の脳裏を様々な記憶が巡りました。

 もともとサラリーマンだった自分が、妻の反対を押し切って、ラーメンの世界に飛び込んだこと。右も左も分からない頃、修業が辛くて、店のトイレでよく泣いたこと。友人から借金までして出した最初の店は、いつも閑古鳥が鳴いていたこと。その店は、一年もたずに潰れてしまったこと。金を貸してくれた友人に、泣きながら頭を下げたこと。その横で、妻も泣きながら一緒に頭を下げてくれたこと。再起を誓ったこと。そして、今の店があること。
ramen_shio.png

 ついに、山本は、男に向かって口を開きました。「申し訳ございません。ラーメンの作り方をお教えすることは出来ません。」

 それは、山本らしい、いつも通りの柔らかな口調でした。

 「別に、あんたに迷惑はかけない。材料だって、ほれっ、このとおり。近所のスーパーで、全部調達してある。今ならヒマだろ。厨房だけ貸してくれりゃいい。あんたは、わしがラーメンを作るのを横から眺めて、口だけ出してくれりゃいい。」男は、山本の目の前に、近所のスーパー『玉出屋』の膨らんだレジ袋2つをぐいと突き出しました。

 山本は、顔の前のレジ袋を、手で振り払いました。山本の手は、わずかにこわばっていました。

 「申し訳ございません。ラーメンを作りたいのであれば、ご自宅でお作りください。私も、商売でラーメン屋をやっているものですから、私にとっては、ラーメンは命と同じです。ラーメンを食べないのなら、どうかお引き取り下さい。」山本の唇も、かすかに引きつっていました。

 「なんだ、客に向かってその態度は!ラーメンが命だと?ふざけたことをぬかすな。ラーメンぐらい誰だって作れるだろ。作り方を独り占めするとは、なんとケツの穴の小さい男だ。お前みたいな偉そうな奴の作るラーメンなんか、頼まれたって食うか!」男は、安物風船のように膨らんで、まくし立てました。そして、ひとしきり暴言を吐くと、戸を乱暴に蹴り開けて、出ていきました。

 男の去った店内には、またラーメンのすする音だけが響いていました。山本も、奥の席に戻って、また、何事もなかったかのように昼食を食べ始めました。

 太朗ちゃんは、チャーシューを切りながら、山本の背中にちらりと目をやりました。『俺も、いつか大将みたいになるんだ・・。』
ramen_tenin.png

にほんブログ村 地域生活(街) 関西ブログ 神戸情報へ
にほんブログ村
posted by 司法書士 前田 at 16:01| Comment(0) | 日記