2018年06月20日

清算における会社名義不動産の問題(株式会社編)


「事業を廃止しようと思うが、会社名義の不動産をどうすればよいだろうか?」

このような相談や依頼は、珍しいものではありません。

清算における会社名義不動産の問題は、司法書士の中心的業務である不動産登記分野と会社登記分野とが交錯する興味深いものです。それに、起業に関するよりも、事業の廃止に関する悩みの方が、当事者にとっては切羽詰まっているということも多いのです。
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1 清算とは
(1) 清算の意味
「清算」とは、一般に、権利義務関係を処理することを指します。例えば、お金の貸し借りにおける清算とは、弁済が完了して債権債務の関係が解消することです。

これに近い意味ですが、会社法上の清算とは、解散した会社が「一切」の権利義務関係を処理して残余財産を株主に分配するまでの手続のことを指します。

これは、会社という法主体の性質から当然に導かれることです。

そもそも会社とは、権利義務の集合に対して人格を与えたものであると理解することができます。換言すれば、会社は、特定の事業に関連して生じる(出資、貸し借り、取引等の)権利義務を、その事業を運営している自然人にではなくて、事業自体に帰属させるための法技術だということです。

生命のある自然人が死んでしまえば、その権利義務は、相続法に従って承継されるなり消滅するなりします。これに対して、もともと生命のない会社が事業活動を止めたからといって、その権利義務が、誰かに承継されるとか、消えてなくなってしまうというわけではありません。会社は、清算という過程を経てはじめて消滅することができるのです。


(2) 清算の手続概略
会社の事業を廃止したいというとき、まず、典型的には株主総会により「解散」を決議します(会社法第471条第3号)。解散によって、事業廃止することを手続的に明らかにするのです。

これに続く会社の清算は、利害関係人の権利保護・調整のため、法定の手続に従って行わなければなりません(会社法第2編第9章)。

清算の目的は、権利義務を処理し、残余財産を株主に分配することにあります。残余財産の分配というのも権利義務処理の一部ですが、清算事務の最後に行われるため、便宜上分けて説明されるのが普通です。清算中の会社の行為能力は、この清算の目的範囲に限定されることになります(会社法第476条)。

清算事務は、時間順に、「現務の結了」、「債権取立・債務弁済」、及び「残余財産分配」と進行します(会社法第481条)。これらを主催する「清算人」には、多くの場合、取締役が横滑りして就任します(会社法第478条第1項第1号)。

清算事務のうち、現務の結了と債権の取立てというのは、文字通りの意味です。

次に、債務を弁済するためには、弁済に先立って、債権申出のための官報公告及び知れたる債権者に対する個別の催告をしなければなりません(会社法第499条第1項)。これには、早い者勝ちを防ぐことにより債権者間の平等を図るという意味に加えて、一定期間(2カ月以上)内に申出をしなかった債権者を清算から除斥することにより迅速・一律の処理を可能にするという意味があります(会社法第503条)。

最後に、債権者への弁済後に残った財産は、株主に対し、持株数に按分して分配されます(会社法第504条)。全ての残余財産の分配が終われば、清算事務が終了します。その後、清算人は、遅滞なく決算報告を作成し、株主総会の承認を受けなければなりません(会社法第507条)。

会社登記のうえでは、以上の一連の手続について、順に、解散、清算人就任及び清算結了という原因に応じた登記を行います。最後の清算結了登記を行うことによって、登記簿上も会社が消滅したことが公示されるのです。

ただし、会社の消滅(=法人格の消滅)という実体法的な効果は清算事務の終了によって生じるのであって、清算結了の登記は単なる報告的な意味しかないということには注意すべきでしょう。このことは、具体的には、清算結了登記を行った後に見つかった残余財産の処分に関わる問題です(後記3(1))。

会計処理のうえでは、解散から清算結了までの間に、解散時点及び清算結了時点(その間に事業年度をまたぐ場合にはその時点)を基準とした決算を行わなくてはなりません。正常に清算事務が終了すれば、清算結了時の決算は、債権、債務及び残余財産が一切ないという内容のものになるはずです。

清算事務が正常な過程を辿らない場合(特別清算及び破産)について、本稿では省略します。



2 会社名義の不動産の処理方法
(1) 換価する方法
事業を廃止するに際して会社名義不動産をどのように処理するかという問題は、上記の清算手続の過程に組み込まれています。

一つの方法は、当該不動産を換価して債権者への弁済に充て、残金を株主へ分配することです。これが、原則的な処理でしょう。

換価のための売却は、清算中だからと言って、通常の売却と特に異なるところはありません。


(2) 関係者に帰属させる方法
株式会社制度は、所有と経営の分離を理論上の柱として成立しています。ところが、日本では、会社、経営者及び株主が三位一体であることがむしろ常態です。このような場合、不動産が会社名義になっているからと言って、それが本当に会社のものであるのか一見しただけでは分かりません。つまり、会社財産と関係者財産との境が曖昧だということです。

例えば、事業と何の関係もない経営者(又はその親族)の自宅不動産が、名目上だけ会社名義になっていたりすることもよくあります。

したがって、事業を廃止したからといって、会社関係者にとって当該不動産が不要になるとは必ずしもいえないわけです。その場合、当該不動産を関係者に帰属させる方法を検討する必要があります。

その方法としては、錯誤(真正なる名義回復)、代物弁済、売買、残余財産分配等の所有権移転原因が考えられます。ただし、これら方法の選択のためには個別事案ごとの具体的な検討が必要であるため、本稿で一般論を述べることは控えたいと思います。



3 注意事項
(1) 清算結了登記後の残余財産発見について
上記では、清算事務の過程における会社名義不動産の処理について考えました。普通、清算を開始する時点で、不動産の存在は知れています。

ところが、清算結了登記が行われてから何年も経過した後に、残余財産が見つかるという事態は、実務上も頻繁に発生します。「見つかる」というより、「ことの重大性に気づく」と表現するほうが的確な場合が多いでしょう。ここで問題となる残余財産は、不動産です。他の財産(会社名義の銀行預金等)が問題となることは、まずありません。

しかし、このような事態に対する対処も、上で述べたことと異なるものではありません。というのも、たとえ会社登記簿上は消滅した外観があるとしても、残余財産がある限り会社は消滅しないからです。つまり、残余財産がある限り、会社は清算の途中なのです。

よって、見つかった残余財産については、清算事務の一環として原則どおり処理すればよいということになります。ただし、誤って行われた会社の清算結了登記については、これを一旦抹消し、清算人の権限を登記記録上も明らかにしておかなければなりません。


(2) 株式会社以外の法人について
本稿で述べたことは、株式会社以外の法人形態についても概ね当てはまります。ただし、当該法人の責任範囲(有限/無限)や性質(公益性/営利性)等の違いに注意を払う必要があります。


(3) 税務や不正について
不動産の移転という行為は、税務当局にとってまたとない課税機会です。したがって、処分方法の選択には、税務上の考慮が不可欠です。ただし、税逃れのために不適切な処分方法を選択するということは言語道断です。

また、事業廃止に伴う会社名義不動産の移転という場面は、ともすれば計画倒産の準備行為と紙一重であることもあります。

要するに、ここには落とし穴が沢山あるということです。したがって、この問題は、法定された清算手続に則って適正に処理することが重要だといえるのです。






posted by 司法書士 前田 at 15:50| Comment(0) | 企業法務

2018年06月13日

不動産の価額について



モノ(財貨)及びサービス(役務)の価額は需給関係によって定まるというのが、経済の常識です。このことは、不動産にも当てはまります。

しかし、土地の価額について「一物五価(いちぶつごか)」という言葉があるように、不動産には複数の価額概念が存在し、紛らわしいことこの上ありません。そこで、今回は、それぞれの価額概念についてその意味や用途等を整理してみましょう。
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1 土地の価額
(1) 成約価額等
「成約価額」とは、実際に土地が売買された「代金額」のことです。「実勢価額」と呼ばれることもあります。これは、取引成否やその代金の決済に関係するほか、将来、取得した土地を更に売却する際の不動産譲渡所得(さらに納税額)を算出するための基準ともなります。

「時価」も、成約価額に近い概念です。ただし、成約価額が取引成約まで分からないのに対して、時価は、周辺の成約実績等から「相場」を形成するものという意味で用いられることが多いでしょう。もっとも、土地がすべて特定物(個性に着目して取引されるもの)であるため、その時価は、種類物(種類・数量に着目して取引されるもの)のように容易には把握できません。

時価や相場は、これから不動産取引に参加しようとする人たちが心得ておくべき価額とも言えるでしょう。


(2) 公示地価
「公示地価」とは、「一般の土地の取引価格に対して指標を与え、及び公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もつて適正な地価の形成に寄与することを目的と」して国土交通省が毎年(3月末)公表している「正常な価格」のことです(地価公示法第1条)。

つまり、公示地価は、「標準地」の適正な1u単価を示したものということです(下記3「国土交通省土地情報システム」サイト参照)。標準地は、都市計画地域を中心として全国に26,000ヶ所設定されています。

例えば、毎年恒例のように報道される東京都中央区銀座「山野楽器本店」前の土地の公示地価は、2018年も5550万円/uで全国1位でした。

公示地価の目的は、まず、民間取引の代金額の指標を国民に分かりやすく提供することです。これには、仲介業者とそれ以外の国民との間にある情報格差を埋めるという意味があります(下記3)。

また、公示地価は、私有地を公共事業等のために買収・収用するための補償額の指標となります。これは、私人の財産権を保護するという趣旨です(憲法第29条第3項)。


(3) 基準地価
「基準地価」は、根拠法が国土利用計画法であること及び調査主体が都道府県であることを除けば、「公示地価」と趣旨及び用途を同じくする価額概念です。毎年(9月)調査地点の1u単価が公表されます(下記3「国土交通省土地情報システム」サイト参照)。調査地点は、宅地を中心として全国に21,644ヶ所(平成29年度)設定されています。


(4) 路線価、評価倍率
「路線価」には、国税庁が相続税及び贈与税の課税標準の算定基準とするため毎年(7月)発表する「相続税路線価」と、市町村が固定資産税評価額(下記(5))の算定基準とするため毎年(4月。ただし、評価替えは原則3年毎)発表する「固定資産税路線価」とがあります。どちらの路線価も、市街地道路に面した土地の価額を1u単価で表したものです。

しかし、単に路線価と言えば、これらのうち相続税路線価のことを指すのが一般です。これに対して、固定資産税路線価は、行政手続きの公平を担保するために公表される(地方税法第410条第2項)のであって、市民が自ら税額(固定資産税)を計算するためにこれを用いることはありません。

そこで、以下、相続税路線価についてのみ述べます。

相続税及び贈与税の課税標準は、対象土地の地積と路線価を乗じ、これに土地の状況(接道、形状等)に応じた補正を加えるという方法で算定します。路線価は、公示地価の8割程度に設定されることが多いようです。

路線価は市街地を中心にして定められているため、路線価のない地域も存在します。このような地域にある土地について相続税等の課税標準を求めるためには、「評価倍率」を固定資産税の評価額(下記(5))に乗ずる方法を用います。ここで用いられる評価倍率表は、路線価図とともに国税庁のホームページでも公開されています(下記3)。


(5) 固定資産税評価額
「固定資産税評価額」は、市町村が固定資産税算定の課税標準とする価額です。固定資産税の他に、都市計画税、不動産取得税及び登録免許税の課税標準としても利用されます。固定資産税評価額は、公示地価にもとづいて算定された土地価額の7割程度に設定されることが多いようです。



2 建物の価額:土地との対比
建物は、人によって生成され、やがて滅失するものであるという性質があります。このことから、価額概念においても土地との差異を生じます。

建物についても、成約価額、実勢価額、代金額、時価、相場、及び固定資産税評価額という価額概念は、土地の場合と同じ意味で用いられます。他方、公示地価、基準地価及び路線価に相当するような基準はありません。

また、建物の固定資産税評価額は、土地のそれよりも税務上の用途が広く、固定資産税、都市計画税、不動産取得税及び登録免許税の課税標準であることはもちろん、相続税及び贈与税の課税標準としても用いられます。

建物が生成する性質をもつことから、新築建物の場合など、固定資産税評価額が未だつけられていないこともあります。この場合、不動産取得税の課税標準を算定するためには、総務大臣の定める「固定資産評価基準」に従って当該建物を評価する必要があります。これは、建物の構造や床面積等をもとに再建築費用を算定し、経年減価補正(減価償却と同様の処理)を行うという評価方法です。実際の建築費用とは関係ありません。また、これと似ていますが、登録免許税の課税標準を算定するためには、管轄法務局の公表する「新築建物等課税標準価格認定基準表」による簡易な評価方法が用いられます。

さらに、建物が滅失するという性質を持つため、建物の会計処理においては「減価償却」が行われる点も特徴的です。このことは、事業者の貸借対照表上の資産評価に関わるほか、建物の不動産譲渡所得の計算にも関係します。



3 不動産取引情報の格差
価額に限った話ではありませんが、昔から不動産取引の場では、仲介業者というプロと、取引当事者である素人との間に、前者に圧倒的有利な情報格差が存在してきました。すなわち、相場をはじめ、取引当事者が判断の指標とすべき重要な情報は、仲介業者側に偏在してきたということです。

今日でも、取引当事者の無知につけ込んで、不適切な取引を仕掛けるような仲介業者は珍しくありません。

平成2年、不動産取引情報を共有化するために、「レインズ Real Estate Information Network System」という情報交換制度が導入されました。仲介業者は、専任媒介以上の契約を締結した不動産(つまり、ほとんどの取引)の売却情報を、レインズに登録しなければならなくなりました(宅地建物取引第34条の2第5項)。

レインズは、売主と買主とを引き合わせるのが本来の目的ですが、登録された成約情報を手がかりとして相場を探るような目的でも利用されています。ただ、レインズを閲覧できるのは仲介業者だけであるため、情報の共有化と言っても、プロと素人との情報格差を埋めるものではありません。

ところが、最近、インターネットの成熟により、この状況に改善の兆しが見られるようになりました。既にネット上にはレインズに劣らない不動産情報を網羅した民間サイトも登場しています。レインズの一般公開という話すら現実味を帯びてきたように思われます。その気になれば、素人も自ら情報収集できる環境が整いつつあるというわけです。


参考として、本稿内容に関連したサイトを挙げておきます。

国土交通省土地情報システム: http://www.land.mlit.go.jp/webland/
路線価・評価倍率表: http://www.rosenka.nta.go.jp/
マンションレビュー: https://www.mansion-review.jp/
おうちデータベース(関東4県マンションのみ): https://realestate.yahoo.co.jp/direct/building



posted by 司法書士 前田 at 22:34| Comment(0) | 登記業務

2018年06月10日

折り畳み自転車(Tern Link Uno) のヒンジの不具合(前編)

5年愛用しているターン社製の「リンク・ウノ(2012年製)」は、折り畳み自転車としてはとてもよくできた自転車だと思っていました。
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(ウノ。)

ところが、ある日、歩道の段差を乗り越えようとハンドルに力をかけた途端、ハンドルポストのヒンジ(蝶番)が開いてしまい(つまり、ハンドルポストが真っ二つに折れ)、あわや転倒するかという事態になりました。どうも、ヒンジのロックが機能していないようでした。とりあえず、応急処置でその場をしのぎましたが・・。
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(ハンドルポストのヒンジ部をいろいろグルグル巻きにしてある。)

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(実は、針金と結束バンド。)

それから1年半、ウノは応急処置のままの状態で使われてきました。

そこで、本日、重い腰を上げて、ヒンジの不具合の原因を探って(可能なら修理して)みようと思い立ちました。

まず、応急処置の針金と結束バンドを外して、ロックを観察すると、バネで下がった上爪(正式には「セーフティーロックピン」というそうです。)が、自転車本体側の下爪に引っかかるような仕組みになっています。
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(○印のところに、上爪と下爪。)

ところが、明らかに上爪の長さが数mm足りません。つまり、ヒンジを閉じた状態で、上爪と下爪が引っかかるどころか、2mmものギャップが開いているのです。
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(ヒンジを閉じた状態。上爪と下爪の間にあるはずのないギャップが!)

フレーム中央のヒンジも同じ構造で、同じ部品を使っています。こちらは問題ありません。
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(フレームのヒンジも同じ構造。)

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(フレームヒンジのロックはきちんと機能しています。)

パンドルポストのロックを分解してみましたが、上爪の長さは調整できないことが分かります。ちなみに、ウノには、ヒンジの硬さを調整するネジはありますが、これは、ロックの爪の長さとは何の関係もありません。
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(ロックのレバーは、上爪に固定されています。)

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(上爪の長さを調整できるかと期待しましたが、ダメでした。)

上爪が折れたり、削れて短くなったような形跡はありません。ということは、これは、製品自体の不良であるということです。これまで、怪我をせずに無事に使用できていたのは、幸運のなせる業です。
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(結局、上爪の長さを長くすることはできません。)

5年使用してきて、今更、メーカーにクレームをつけようとは考えていません。ウノを気に入ってもいます。ただ、ターン社の自転車は皆同じヒンジの構造をしているので、同社の折り畳み自転車を使用している人は一度確認してみることをお勧めします。

専用部品ばかりを使った折り畳み自転車の場合、小部品のみを注文することができないようになっている(ハンドルポスト全体の交換が必要になるかも)ことが多いものです。ある程度規格が一定している普通の自転車と比較して、とても不便です。
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(爪1個のために、ハンドルポストAssy 16,000円也。・・ありえへん。)

というわけで、また結束バンドで固定することにしました。つまり、応急処置が永久処置になったという訳です。当面折りたたんで使用することは無いので、これで良しとしましょう。
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(また結束バンドに頼るはめに。)

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(原因解明できて、めでたし、めでたし・・?)



・・・と、ブログを書き終えようとしていたところで、もしやと思って、ターンの折り畳み自転車のヒンジ部のことについてネット検索しているうち、ターンの上爪(=セーフティーロックピン)には、2種類の長さの異なるものがあるらしいということが分かりました。このうち、長いものがハンドルポストヒンジ用で、短いものがフレームヒンジ用だとのことです。ということは、私のウノのハンドルポストヒンジには、誤ってフレームヒンジ用の短いものが使われていたということです。

さて、長いセーフティーロックピンをどうやって入手しましょうか?

後編につづく・・。

(2018年7月10日追記: 後編を公開しました。)



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(2018年6月9日、梅雨の晴れ間。)




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タグ:自転車整備
posted by 司法書士 前田 at 12:47| Comment(0) | 自転車

2018年06月08日

「所有者不明土地問題」を読む


1 「所有者不明土地問題」への注目
昨年(2017年)、有識者によって「所有者不明土地問題研究会」が結成され、1年に満たない間に最終報告書(以下、「報告書」という。)をまとめました。「所有者不明土地」について、初の網羅的な研究報告です。

報告書:http://www.kok.or.jp/project/pdf/fumei_land171213_03.pdf

報告書によれば、「所有者不明土地」が、現時点で全国合計約410万haの規模に達しているとのことです。これは、九州本島の面積に匹敵します。さらに、このまま何の対策も取られなければ、2040年までには「所有者不明土地」が約720万haの規模にまで拡大するというのです。

報告書は、広大な「所有者不明」の国土が日本経済成長の妨げになると警鐘を鳴らします。



2 「所有者不明土地」?
さて、報告書で問題とされている「所有者不明土地」とは、どのような土地のことを指すのでしょうか?

相続が生じても、遺産たる土地の相続登記が行われないまま放置される事例は、後を絶ちません。放置期間が長くなれば、ネズミ算式に相続人が増えて、遺産分割が困難な事態を生じてしまいます。

土地の相続手続きが放置される主な理由は、@「誰も遺産たる当該土地を欲しがらないこと」と、A「当面の当該土地の利用に支障がないので放置し続けてしまったこと」のどちらか又は両方にあると考えられます。

地租改正を契機とする近代的な土地所有制度が誕生して以来、このような事象がじわじわ広がっているという認識は、司法書士の間では「困難相続登記」の問題としてお馴染みです。そのような司法書士的先入観のメガネを通して見ると、「所有者不明土地問題」は、困難相続登記問題と同じものであるかのように思われます。

しかし、報告書によれば、「所有者不明土地」とは、「不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても連絡がつかない土地」のことを指すと定義されています。つまり、「所有者不明土地」は、困難相続登記の問題が対象とするような土地に限らず、所有者連絡先不明まで含んだ多種多様な土地を指すわけです。

この定義は、あまりに広範過ぎるのではないでしょうか。

よほど極端な例を除けば、大抵の土地は、登記記録や戸籍を辿って、現在の権利者(所有者、共有者、相続人等)を割り出すことができます。つまり、厳密な意味で土地が「所有者不明」になるということは稀なのです。

困難相続登記事案の場合、権利者を特定することは困難ながら可能です。しかし、相続対象になる土地の最終的な帰属が決められないのです。おそらく、報告書においても、「所有者不明土地問題」の中心は、ここにあるように思われます。これをより正確に言うなら、「土地所有権の承継不全」の問題ということです。

他方、連絡先不明というのは質が違います。これは、行政の情報管理に属する問題です。そして、その解決も、主に技術的な性質のものでしょう。複数の行政機関の保有する情報の共有化や効率的利用を考えればよいということです。

「所有者不明」の定義が、このように異質のものを一緒くたにしていることに気づくと、報告書で議論されている論点もかなりぼやけて見え始めます。さらに、410万haなり720万haなりの「所有者不明土地」が具体的に何を指すのかも良く分からなくなってしまいます。承継不全の土地はその中の一部でしょうが、残りの広大な土地は何のために含まれているのでしょう?誇張のためでしょうか?



3 問題解決の方向
問題の対象を、土地所有権の承継不全に絞れば、その最終的な解決のためには、原因(上記2の@及びA)に合わせて、次のような制度を準備する必要があると思います。

ア 土地所有権放棄及び放棄地管理のための制度
イ 共有者の一人が単独所有権を取得する制度

まず、所有者(又はその相続人)が正しくない方法で要らない土地を事実上捨ててしまうことが、承継不全を生じる一因です。ならば、正しく所有権を放棄する制度を準備することが問題の解決になるはずです。

現行法上、共有持分の放棄(民法第255条)や相続放棄(民法第939条)等の規定はあるものの、所有権の放棄についての直接の規定はありません。ただ、明文規定はなくても、所有権も当然に放棄することができると解されており、放棄された不動産は国庫に帰属することになります(民法第239条第2項)。ところが、国庫帰属のための制度といえるようなものは存在しません。

よって、ここでの課題は、放棄された不動産を受け入れて管理(希望者には譲渡や利用権設定)する制度をつくることです。欧米には、モデルとすべき制度が既にいくつか存在しています(参考:「土地を放棄できる国ドイツ」2018年5月24日朝日新聞デジタル)。

次に、利害関係の薄い多数の相続人の中に行方不明や行為能力喪失者が生じた等の理由のために遺産分割が事実上不可能になってしまったような事案に対しては、どのような解決が考えられるでしょうか?

現行法上、遺産共有の状態を解消するためには家事事件としての遺産分割(民法第907条第2項)、物権共有状態を解消するためには民事事件としての共有物分割(民法第258条第1項)と、手続きが二分されています。しかし、長期に渡って所有権の承継不全が定着してしまった状態は、遺産共有というよりは物権共有に近いようにも考えられます。さらに、どちらの手続きにおいても相続人全てを関与させることが必要とされていますが、承継不全が定着してしまった状態においては、それが一番の障害になることも多いのです。

そこで、当該土地を必要とする共有者の一人が、単独で所有権を取得する(したがって、他の相続人の共有持分を喪失させる)制度を、従来の遺産分割や共有物分割の手続とは別に考えることはできないでしょうか?これに類似する制度は、認可地縁団体の不動産取得制度として、限定的ながら既に存在しています(地方自治法第260条の38)。

財産権が憲法上の権利であるから、これを奪うような制度を作ることには反対もあるでしょう。しかし、財産権も「公共の福祉に適合するやうに」法律によって定められるもの(憲法第29条第2項)に過ぎないのですから、国土でもある土地の私的所有に内在的制約が大きいのは当然のこととも考えられます。もともと土地は、私人の労働によって作られるものではないのです。



4 公共目的の利用権設定の特措法
2018年6月6日、所有者不明土地の利活用を促す特別措置法が成立しました(1年内施行予定)。所有者不明土地問題に対する国の取組みの第一歩といえます。

これは、所有者不明土地について、都道府県知事が、公共の目的のために、最長10年間の利用権を設定できるという制度です。例えば、市町村が仮設道路を造ったり、公益法人の駐車場を造ったりという使い方が想定されています。
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* 本稿では土地について述べましたが、建物についても状況は基本的に同じです。ただし、永続する性質を持った土地と違って、生成消滅する性質を持った建物について、承継の問題を独立に論ずる意味はそれほど大きくはないでしょう。



posted by 司法書士 前田 at 17:58| Comment(0) | 相続・遺言

2018年05月27日

機械式(メカニカル)ディスクブレーキの調整

機械式ディスクブレーキを使用していると、次第にレバーの「あぞび」が大きくなってきます。この原因は、ワイヤーを交換したばかりであればワイヤーの「初期伸び」のためであるかも知れませんが、たいていはブレーキパッドの磨耗のためです。ブレーキパッドが左右合計1mm磨耗すると、レバーの遊びが10〜20mmも増加してしまうほどです。ブレーキの操作感が大きく変化してしまって危険です。

そこで、今回は、機械式ディスクブレーキ(br-m416a)の調整方法を説明してみましょう。

まずは、ブレーキキャリパー固定ネジを緩めます。これによって、キャリパーが左右に動くようになります。
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(○印が固定ネジ。)
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(緩めるだけです。)

キャリパー内側のパッド位置調節ネジを、少しずつ締めていきます。1ノッチ締める毎に、ブレーキレバーを握って、レバーの遊びが最適(よりやや少なめ)になるところまで根気よく締めていきます。
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(最適点を探りながら、1ノッチずつ締めていく。)
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(1ノッチ締める毎に、ブレーキレバーの遊びを確認。)

パッド位置調整が済んだら、ブレーキレバーを強く握ったまま、キャリパー固定ネジをしっかりと締め、キャリパーを固定します。
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(ブレーキレバーを握ったまま、固定ボルトを締める。)

パッド位置調整ネジを、2ノッチ分又は3ノッチ分戻します。これは、シマノの低グレードのブレーキシステムの場合、片(内)側のブレーキパッド位置を調整することしかできないため、このまま調整ネジを戻さない状態だと、ブレーキディスクに内側パッドがベッタリとくっついたまま(引きずり)になってしまうからです。
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(2〜3ノッチ戻して、引きずりを解消。)

ワイヤーの張り具合は、キャリパーとレバーそれぞれについた調整ネジで微調整します。
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(キャリパー側ワイヤー調整ネジ。)
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(レバー側ワイヤー調整ネジ。)

仕上げに、ブレーキレバーを握って遊び量を確認し、ホイールを回転させてブレーキの引きずりが無いことも確認したら作業完了です。
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(レバーの遊びは最適。)
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(ホイールも軽い。)

後ろブレーキの調整も同じ作業工程です。もちろん、磨耗しすぎたブレーキパッドは調整ではなくて、早めに交換する必要があります。

最後に注意事項を。

ブレーキワイヤーの固定ボルトは外してはいけません。ブレーキワイヤーのつけ外しを何度も繰り返すと、ワイヤーが切れやすくなってしまいます。ワイヤーを引っ張りなおすことだけでブレーキ調整するのは邪道です。

また、機械式のブレーキシステムでも、両側パッドの位置調整ができるタイプのものであれば、上のような作業のほとんどは不要でしょう。上の説明が当てはまるのは、片側のパッド位置だけを調整できるタイプの機械式ディスクブレーキです。


もうじき6月。蒸し暑くなってきました。
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タグ:自転車整備
posted by 司法書士 前田 at 17:20| Comment(0) | 自転車